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電子工作入門~3端子レギュレータとは?

はじめに

「ブレッドボードを使ってみよう」「ブレッドボードを使ってみよう(補足編)」では、1.5V乾電池を2本使って+3Vの電圧を作り出してLEDを点灯させました。

乾電池を使用したブレッドボード回路

このような比較的簡単な回路では、3V程度の電圧でも十分なのですが、一般的な電子回路ではもっぱら5Vや12Vといった電圧で動作するようになっています。

今回は、その5Vを取り出すために必要な電子部品として「3端子レギュレータ」を紹介します。その3端子レギュレータをブレッドボードで使うためのノウハウ、必要な機材や回路の作り方、そして使う際の注意事項を交えながら進めていきます。

3端子レギュレータ

その名の通り「3つの端子」を持つこの電子部品、入力する電圧を変換して出力端子側に必要となる電圧を発生させるものです。それではその形状をよく見ていきましょう。

様々な形の3端子レギュレータ

大きさや形状にはいくつかの種類がありますが、当講座で使用するものは右側の2つか、前回の「電子部品について」で紹介したトランジスタと同じ形状をもつ左から2番目のものです。ちなみにその形状には名称が付いてまして、右側のものは「TO-220」形状、トランジスタと同様の形状は「TO-92」形状と呼びますので、覚えておいてください。

なお、以下で紹介する3端子レギュレータは「秋月電子通商」(http://akizukidenshi.com/)で購入できまして、NJM7805という型番、1個\50ほどです。

それでは3端子レギュレータの使い方を示していきます。回路図における記号として以下のように表されます。

3端子レギュレータの回路記号

3本のピン(端子)には1,2,3それぞれ番号が付けられ、その1番には入力する側のプラス電圧、3番には出力として取り出す電圧のプラス、2番はそれぞれのマイナス(GND:グランドとも言います)をつなぎます。実際の部品とピン番号の対比は、部品の型番刻印面を手前にして左から1,2,3と数えます。

3端子レギュレータ回路配線

それではブレッドボードに載せてみましょう。その時に少し注意するべき事があります。それはこの3端子レギュレータの足(リード線)は、これまでに扱った電子部品の足よりも太く、約1mmほどあります。そのためブレッドボードの穴に差し込むには少しばかり力が必要です。穴に対して真っ直ぐに入れるようにし、無理に差し込んで足を曲げてしまわないように注意してください。

3端子レギュレータをブレッドボードに実装します

3端子レギュレータを差し込んだ向きに注意してください。レギュレータ表面の型番刻印面を手前側に向けて差し込んでください。そしてブレッドボード上辺のマイナスと3端子レギュレータ真ん中の足(上記画像では黄色のジャンパ線)と、プラス電源のほうは3端子レギュレータ左側の足(同様に赤色のジャンパ線)とをつなぎます。これで入力側の接続は完了です。

向かって右側の足から出力電源を取り出します。上記画像では緑色のジャンパ線で引き出しているのが分かりますか?。ちなみに出力側のマイナス端子(GND)は真ん中の足と共用です。

入力・出力端子そして共通のGND端子(マイナス)のわずか3つの端子を扱うだけで、欲しい電圧を取り出すことが出来る「3端子レギュレータ」は、様々な場面で使いますので、自分がよく使う電圧タイプ(例えば5Vや3.3Vなど)を複数揃えておけばよいでしょう。

使用時の注意点

さて、この3端子レギュレータですが、実際に回路で使用する場合にはいくつかの注意点があります。

一般的な3端子レギュレータでは、入力する電圧は出力する電圧よりも+3V程度高い必要があります。例えば5Vを必要とする場合には、入力側の電圧は約8V以上必要となるという事です。

ここでは入力には約9Vの電圧とし、5V出力タイプの3端子レギュレータを使って、テスターにて電圧を測ってみた結果を以下の画像で示します。

テスターで電圧を計測しました

出力側にはほぼ5V近い電圧となっていますが、それでもちょうど5Vにはなっておらず、若干高めになっています。その理由は3端子の出力側から取り出しただけでは、その出力電圧に波があり、まだ少し不安定なためです。どのような波形になっているかと言いますと、オシロスコープ(電圧変化をブラウン管で表示できる機器)で見てみましょう。

出力電圧はこのようになります

左上の規則的な波状の変化が分かると思います。このような状態を「発振する」と言いますが、通常の3端子レギュレータではたいていこのようになります。そこで、出力側の端子にコンデンサを接続してその波成分を吸収してやる必要があります。その回路構成を以下の回路図で示します。

3端子レギュレータの基本回路図

このようにコンデンサを通った後の部分での波形は上記画像の右下に挙げておきます。ほぼ横一直線に安定している事が分かりますね。

出力電圧をテスタで測って見たところ、5.067Vとなり、およそ1%程度の誤差のみとなりました。

出力電圧はほぼ5V

3端子レギュレータを使う際には、上記回路図に示すとおり出力端子側に使うコンデンサを用意する事をお忘れ無く。コンデンサの容量値については使用する回路により異なりますが、当講座で使用する場合には、上記図にある0.1μFのもの(積層セラミックコンデンサ)と47μFのもの(アルミ電解コンデンサ)の2種類のみです。

電子回路には電源が必要

ところで、3端子レギュレータを取り付けただけでは電子回路を構成することは出来ません。というのも電気を供給する「電源」そのものが無いからです。

電子回路の試験を行う際に必要な電源を供給する装置としては、このようなものがあります。

普段、私が使っている電源装置です

家庭用コンセントから交流100Vを取りだして直流9V~12V程度の電圧に変換するもので、一般には「電源装置」あるいは「電圧コンバータ」と呼ばれています。ダイアルを回して調整することにより、希望の電圧に設定できるモノなのですが、趣味で扱うにはちょっと・・・どころか、かなり大袈裟なモノです。値段も取り出せる電圧や電流の大きさによって異なりますが、およそ1万から数万円程度する事もあり、ブレッドボードの入門講座で取り扱うレベルではありません。

そこで紹介するのが次の「ACアダプタ」です。

ACアダプタ

家庭でお使いの電話機やゲーム機、ノートパソコンなどでおなじみの「ACアダプタ」です。

秋月電子で買った+9VのACアダプタと、ジャンク品利用の+12VのACアダプタ

こちらも先に紹介した電源装置と同様に家庭用コンセントから機器に必要な電圧へ変換するものですが、大きさはかなりコンパクトになっていることがお判りかと思います。取り出せる電圧は固定されていますが、これからブレッドボードで使用するのに必要な+9V程度を取り出せるタイプであれば、数百円から高くても千円程度で入手可能です。

上記画像で左上側にあるのは当講座で以前に紹介した「秋月電子通商」(http://akizukidenshi.com/)で購入したもので「M-815」(出力:9V)、あるいは同等のものとして「M-30」(出力:9V)があります。右下のものはジャンクとして入手した電子機器に使用されていた回路を流用して作成したモノで、+12V程度の電圧を出力します。

このようにコンセントから手軽に必要な電圧を取り出せるACアダプタですが、その形式や仕様には様々な種類がありますので、入手する際には混乱するかもしれません。そこで使用するものを一つに決めた上で以降の講座を進めていきます。

ACアダプタにはこのように入力電圧と出力電圧/電流および最大電力が明記されています。また電源を取り出す側のプラグ(DCプラグ)の仕様(外側がマイナス、内側のピンがプラス)なども表示されています。

スイッチング電源で、+9V/1.3Aの能力があります

当講座では先に挙げた「秋月電子通商」(http://akizukidenshi.com/)の「M-815」や「M-30」と同様となる以下の仕様を持ったACアダプタを使用する事を前提とします。

  • 名称:スイッチングACアダプタ
  • 入力電圧:AC100~120V 50/60Hz
  • 出力電圧:DC9V/0.5A~1.5A程度(5W~12W)
  • プラグ形状:外形5.5mm、内径2.1mm センタープラス型
  • コード長:50cm~1.5m程度

ご自身で電気店での購入や通販等利用される場合には上記仕様をメモした上で行ってください。

ブレッドボードにACアダプタをつなぐには

さぁこれでACアダプタも用意できました。が、それでもまだそのままでブレッドボードで使うことは出来ません。というのも、ACアダプタの出力端子とブレッドボードとをつながなければならないからです。

一般的なACアダプタの出力端子は、下記画像右側にある丸いプラグ形状をしています。それと対になる「受け口」が左にある「DCジャック」です。

「秋月電子通商」(http://akizukidenshi.com/)では「C-77」として用意されているものですが、これは本来、基板にはんだ付けするためのもので、ブレッドボードで使うには若干の加工が必要となります。以降ではその加工の方法を紹介します。

用意する部品は、「C-77」、ブレッドボードに差し込むためのピン(「C-148」、そして10cm程度の2芯ケーブルです。他には必須ではありませんが、接続した部分を保護するための収縮チューブがあれば良いでしょう。

さて途中を随分端折ってしましましたが、出来上がりはこのような感じです。画像は拡大できますので、じっくりとご覧下さい。注意する点としては、DCジャック側のプラス(赤線)/マイナス(黒線)の位置と、ピンジャック側のプラス/マイナスをきちんと合わせる事、そしてブレッドボードの上辺に差したときに逆にならないようにする事ですね。

回路例

これでブレッドボードで必要なものが揃いましたので、3端子レギュレータを使ってLEDをつないでみましょう。

LEDを点灯させてみました

既にブレッドボード状に組み上げた3端子レギュレータに加え、1KΩの抵抗とLED(白色)を使います。LEDの向き、つまりアノード(プラス)/カソード(マイナス)の向きに注意し、アノード側に抵抗をつなぎます。

LEDを使った回路図です

続いて、+3.3Vの3端子レギュレータを追加して同様の回路を組んでみました。

3端子レギュレータの回路記号

前出の3端子レギュレータの違いは、出力される電圧が+3.3Vである事だけで、回路構成はほぼ同様に構成できる事がお判りですね。

3端子レギュレータの一般的な回路

実は、3端子レギュレータにも様々な種類があり、一概に回路構成を決めることは出来ないのですが、今回使用した「7805」という型番をもつものであれば以下に示す回路図で、まず間違いはないと思っていただいて良いでしょう。ちなみに、出力側から入力側へつながっているダイオードは、電源を切った際に出力側に残った電気を逃がすためのものです。入力端子側よりも出力端子側の電圧が高くなると3端子レギュレータが壊れる事があり、それを避けるために使用します。

3端子レギュレータの一般的な回路例

ブレッドボードの端に、この3端子レギュレータを使った回路をそのまま載せておけば、思い立った時に回路を組むことが出来ます。

放熱処理

以上で、基本的な3端子レギュレータの使い方について説明してきました。分かり易くて非常に扱いやすい3端子レギュレータですが、実際に使っていると一つ問題が出てきます。組み上げた電子回路によるのですが、3端子レギュレータが「熱く」なってくるのです。この発熱自体は本来の動作で起こることであって異常では無いのですが、あまりに熱くなりすぎると壊れる事も起こりえます。そのために必要なものが、以下の画像に示す「放熱板」(あるいは「放熱器」)です。

1枚の板で凸凹を付けた単純なモノから、非常に沢山のヒレ(フィンといいます)を持ったものまで、発熱の大きさに応じていくつかの種類がありまして、3端子レギュレータから電気を供給する先の電子回路による発熱の度合いに応じて選択できるようになっています。

3端子レギュレータを放熱板に取り付ける際、何も挟まずにひっつけたりネジ止めするだけも効果はあるのですが、本来の性能を発揮させるためには部品と放熱板との間に「シリコングリス」を密着するように挟んで組み立てると良いでしょう。

見た目にはほとんど違いはありませんが、部品の性能をきちんと発揮させる事、そして熱によるダメージを出来るだけ押さえるためにもキチンと処理することをお勧めします。

より高い発熱が発生する場合には、より放熱効果が大きいものを使用します。

電子回路には安定した電源が必要です。「3端子レギュレータ」をしっかり使いこなす事でどんどん回路を組んでいきましょう。

まとめ

ここまでの内容をまとめてブレッドボードで構成した回路を以下の画像に示します。もちろん、LED1個を光らせるだけで3端子レギュレータが大きく発熱するわけではありません。放熱板を使ったイメージ画像としてあげておきます。

こちらの画像では、ACアダプタとブレッドボードと繋ぐケーブルを使っているのがお判り頂けると思います。もうこれで乾電池のヘタリ具合を気にしなくても良いですね。

今回はブレッドボードで電源を扱うのにもってこいの部品「3端子レギュレータ」を紹介しましたがいかがでしょうか?。これから電子回路を組み上げていくとき、乾電池だと長時間にわたって安定した電気を供給できませんし、一般的な電子回路での「+5V」ピッタリに合わせる事が困難です。そんな時には、ACアダプタと「3端子レギュレータ」を使えば問題ありません。
(uecchi)