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 TRIO 9R-59DSダイアル

通信型受信機~TRIOトリオ9R-59DSレストア日誌~その1(局発不良)

往年の名機~トリオ 9R-59DS 真空管通信型受信機

大阪万博の1970年代、トリオ(TRIO、現在のKENWOODケンウッド)から、高一中2の典型的な真空管式短波(中波含む)受信機が発売されていた。「秋の夜長のDX(遠距離受信)に!!」なあんて無線オタクのハートをくすぐるようなキャッチフレーズで...

TRIO 9R-59DS

組立キットだった「9R-59D」の後継機「9R-59DS」は完成品で、\29,800円だっと思う。金欠無線少年には手の届くものではなく、無線雑誌の広告を見てはいつもため息をついたものだった。

が、お金持ちの友人から、友人の兄貴が製作した9R-59D(キット)を安く買い受けることになった。喜んで自転車の荷台に縛り付けて持って帰ってきた。
ところがその受信機は、シロートが作った典型的な不安定(失礼)なもので、とても「秋の夜長の~」なんて実用になるものではなかった。ガッカリした。最初は結構鳴っていたのだが、だんだん調子がおかしくなる。最後にはほとんど鳴らなくなった。
当然、シロートが作ったものをシロートが買い受けても実用にできるまで修理・調整できるものではなく、結局10年以上物置に放置した後、ヤフオク経由で詳しい人に譲ってしまった。その9R-59Dは、奇妙なことにケースをたたくと、「カア~ン」「カア~ン」とスピーカーから音が鳴った。肝心の放送は蚊の泣くような音でしか聞こえない(^^;;

TRIO 9R-59DS

TRIO 9R-59DS MINT!! Collector's item

2台目は数年前、オーストラリアから9R-59DSを入手した。出品者の近くの交換機が吹っ飛んだ(@@)ということで、1週間ほど連絡が途絶えたが...

これは電源がAC250V(200V?)だったので、神戸なんとかサービスというところで電源トランスを巻き直してもらった。結構高かったように思う。9R-59DSは完成品製品なので、ハンダ付けなど内部の組立は完璧だった。経年劣化の部品を交換してレストアを、と考えていたが、何を思ったか、スペア真空管とともにすぐに手放してしまった。

ひょんなこと、というか、縁があったのか、2005年の初夏に9R-59DSをまたまた入手してしまった。今度は英国紳士から。(この受信機は今もベッドラジオとして愛用している。)
「TRIO 9R-59DS MINT!! Collector's item」でなんと、日本の相場の1/4程度の価格で!!
思わずクリック(笑)
でも、後が悪い。送料が$122.00...「Delivery shipped yesterday.」って言われ選択の余地もなく...入国を待つことに。これでは日本で入手するのと変わらないよ。トホホ...

ネット取引をはじめて随分経ち、「新品同様!! コレクターズ・アイテム」なんてキャッチを鵜呑みにしているわけではないが、数週間待つ商品に少なからず期待は膨らむ。

無事届いたヨーロッパ育ちの9R-59DSは、外見はまずまずだ。
いただけないことにACコンセントは先の方で引きちぎっている(^^;;
外人のおいちゃんの「MINT!!」だという感覚は、いつも理解に苦しむ(笑)
本体上部(↓)は欠品や破損も無くまずまずだが、なぜか油まみれだ。いつも閉口するのは、受信機やラジオみたいな電子回路に、なぜ油をまき散らす人が多いのか??何を考えているのか?

TRIO 9R-59DS

本体下面(↓)はキレイだった。バンドA(中波バンド)の調整用トリマの回りが油にまみれているが。
トリオのお家芸「トリオ コイルパック」が見える。

TRIO 9R-59DS

引きちぎられたオリジナル(トリオの象徴?茶色コード)コードを取り替えて簡単に各部を目検でチェックする。(↓)

TRIO 9R-59DS

緊張の一瞬!

電源をオソルオソル入れる。
鳴った。
鳴ったが感度が悪い...それも中波しか入らない。
9R-59DSは535KHz~30MHzを、A、B、C、Dバンド切替でカバーするが、A、Bバンドしか受信できない。他のバンドは小さいノイズのみだ。
この時代の受信機は、ハイバンド、特に10MHz以上では受信感度が落ちるのが当たり前だった。真空管や当時のトランジスタの高周波特性が良くなかったからだ。それにしてもノイズの音が低すぎる。
RFゲインや、アンテナトリマをグルグル回しても音に変化が無い。
局発(局部発振回路)がイカレている可能性がある。

TRIO 9R-59DS

局発(OSC)回路回りの電圧を測ってみる。
真空管回路の測定は、気合い?を入れてやらないと火花が散る(^^;;
測定棒で誤ってショートさせてしまうと、高電圧がかかっているから火花が散るのだ(恐)
局発の6AQ8、MIXの6BE6のプレート電圧やカソード電圧は一応正常だ。AC115V仕様の電源トランスなので、B電圧はちょっと低めになる。
局発のグリッド-MIXのグリッド(局発出力)電圧をみると、A、Bバンド以外はほとんど出ていない。
A,Bの電圧(規定-3.5V)も弱い。
これだ。
オンボロオシロを、局発、MIX間の結合コンデンサのあたりにつないでみた。(↓)

TRIO 9R-59DS

Aバンド(550 - 1600KHz)↓
中波。弱いが一応発振している

TRIO 9R-59DS

Bバンド(1.6 - 4.8MHz)↓
短波ローバンド。一応発振している。でも弱い。

TRIO 9R-59DS

Cバンド(4.8 - 14.5MHz)↓
短波。全く発振していない。このバンドは、BCL(海外短波放送受信)の一番楽しいところ(私の場合)。世界の短波放送局が目白押しで放送しているところだ。ここがダメなら、この受信機もタダの産廃だ。

TRIO 9R-59DS

Dバンド(10.5 - 30MHz)↓
短波ハイバンド。ここも全く発振していない。

TRIO 9R-59DS

SSGから信号を入れてRF、MIX回路のあたりを点検中(↓)
虫めがね(ルーペ)は必需品です。

TRIO 9R-59DS

局発6AQ8複合真空管の配線回りを見る。とくに弱ってそうな部品は見あたらない。(↓)

TRIO 9R-59DS

9R-59DSの、局発回路(OSC)の一部。シンプルで典型的な発振回路のようだ(↓)

TRIO 9R-59DS

9R-59DSの、高周波増幅回路(RF)と周波数混合回路(MIX)(↓)
通信型真空管受信機の教科書に出てきそうな基本的な回路。なんかうれしくなってくる。

TRIO 9R-59DS

9R-59DS修理・整備作業の参考書(↓)
回路図はググって見つけた。サービスマニュアル(英文)は、ドイツかどこかの有料サイトからCD-ROMで購入した。9R-59DSだけでなく、いろいろな機種が掲載されていてお買い得だった。復刻版「実用真空管ハンドブック」は「初歩のラジオ」の出版社から出ている。今でも入手可能。真空管のデータシート(DataSheet)としてとても重宝する。メーカのお堅いデータシートとは異なり、解説記事や参考回路が満載で読み物としても面白い。
修理・整備作業に、回路図やサービスマニュアルがあると無いとでは大違いだ。ヤフオクでとんでもない価格でサービスマニュアルが出回っているが、あれはちょっとヒートし過ぎだと思うが...

TRIO 9R-59DS

局発不良の修理開始

まず手持ちの新品6AQ8に取り替えてみた。
A,、Bバンドが心持ち(10-20%)強くなったように思える。しかし、C,Dバンドは発振しない。

TRIO 9R-59DS

局発回路のLC共振回路-6AQ8間の直列になっている安定化抵抗(R)とコンデンサ(C)を取り替えた。(↓)

TRIO 9R-59DS

昔懐かしい炭素型?(ソリッドって言ったっけ?)抵抗を取り外した。
経年劣化で値が増えていた。

TRIO 9R-59DS

コンデンサは、これも昔懐かしい、キャラメル型マイカコンデンサ。手持ちに240PFってのが無かったので、手持ちのディップマイカコンデンサを、220PF+20PF=240PF(並列で合成容量)にして取り替えた。経年劣化でコンデンサの方も容量が増えていた(↓)

TRIO 9R-59DS

今回取り替えた部品。真空管は測定機が無いので寿命は不明。カンピュータでは「それなりに劣化あり」と出た。(↓)

TRIO 9R-59DS

再び灯を入れてオンボロオシロ(それにしてもkenのオシロを見るとヨダレが出るなあ(笑))に接続する。A、Bバンドは元気よく発振するようになった!!

TRIO 9R-59DS

C、Dも、正弦波が出た。が、また消えた。出たり、切れたり...(↓)

TRIO 9R-59DS

接触不良かあ??
バンド切替のロータリースイッチが相当汚れていそうだ。
あ~あ、やっぱり油にまみれている。
接点洗浄剤を吹きかけて綿棒で丁寧に汚れを取る。これを何回も繰り返す。
再び灯を入れてチェック。
だいぶ良くなった。C、もDも元気に発振をはじめた。
が、今度は極端な現象に..発振か、ゼロか...

TRIO 9R-59DS

やっと見つけたよ。主犯を。
局発のパディングコンデンサの不良だ。Cバンド(回路図では4000PF)、Dバンド(2750PF)(↓)
昔懐かしキャラメル型マイカコンデンサだ。手でつつくと発振、またつつくと発振ストップ。
これですよ。これ。

TRIO 9R-59DS

手持ちのスチコンに取り替える。容量値は若干異なるが、後のトラッキング調整で何とかなるでしょう。スチコンって優秀イメージが強く救世主みたい。いつもいい場面に出てくるねえ...
今年のタイガースで言えば久保田か?キャラメルマイカは井川ちゃんだったりして(^^;;(マズかったかな)(↓)

TRIO 9R-59DS

Aバンド(550 - 1600KHz)↓
中波。元気よく発振している。これで”ラジオ深夜便”が聞けるぞ。

TRIO 9R-59DS

Bバンド(1.6 - 4.8MHz)↓
短波ローバンド。とてもいいです◎。

TRIO 9R-59DS

Cバンド(4.8 - 14.5MHz)↓
短波。三途の川から戻ってキタ~。
ここが聞けないと受信機じゃねえ!!(私の場合)

TRIO 9R-59DS

Dバンド(10.5 - 30MHz)↓
短波ハイバンド。少々弱いが発振しましたねえ。
弱いのは真空管(6AQ8)の性能なのかなあ?ラジオ受信機の教科書によると、「局発信号を強くすると受信感度も向上する」って大井先生や奥澤先生が書いてたなあ..いっそ、2SC1906あたりのトランジスタで発振させた方が良くなるかも。特にハイバンドが。でも、トランジスタで出力電圧をマイナス出力にするのってどうすんだっけ?インピーダンス整合は(?_?)
まあいいか。

TRIO 9R-59DS

主犯の井川ちゃん、イヤ、役目を終えて寂しくたたずむ、キャラメル型マイカコンデンサ。
それにしてもゴッツイリード線だ。内部で電極がハズれかかっているのかな?レトロ部品です。

TRIO 9R-59DS

とりあえず元気に鳴りだした。
短波放送も適当な線をつなぐだけで良く聞こえる。中波もOK。ラジオ深夜便がよく合う。タバコがうまい。至福のひとときだ...
レトロ受信機とは言え、高1中2(高周波増幅1段、中間周波増幅2段)の実力はスゴイ。
主観なのだが、小さいトランジスタ、ICの受信機より、真空管受信機の方が、特性にメリハリがはっきりしているように感じる。感電はとても恐いが...

TRIO 9R-59DS

今後の”治療方針”

気分は名主治医の気分♪♪~
一応元気に鳴り出したわけだが、「秋の夜長のDX(遠距離受信)に!!」を満喫するまでには先が長い。

■チューニング(同調)がスムーズにいかない。とくに微調用のスプレッドツマミはスリップしてほとんど動かない。油をまき散らかしたのが原因だ。

■受信音がコモる。これは9R-59DシリーズのIF段(中間周波増幅段)に2つのメカフィル(東光のメカニカル・フィルタ(↓)が使われている為だ。SSBやCWなどを聞くにはこちらの方が良い。狭帯域で選択度が良い。でも私のように、一般のAM放送を聞くにはチト音が悪すぎる。特性も劣化しているかもしれない。昔聞いたAMの音はもうちょっと良い音だった気がするのだが。

  TRIO 9R-59DS

よって、これを普通のIFT(中間周波トランス)に換装しようと思う。

■それと、コビリ付いている油をキレイに取らねば。

というわけで、その2に続きます。

(kazu)

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