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東芝 かなりやQ 真空管ラジオレストア日誌

ひさしぶりのかなりやQ

 昭和40年代に人気があった機種である。東芝製の真空管式5球スーパーラジオで、細いビニール線をのばすと、中波放送(535~1605KHz)と短波(3.9~12MHz)が聞ける。今聞いても真空管ラジオは音が良い。まろやかでなつかしい音で鳴る。
当時は我が家にも1台あった。おじさんが買ってきて学生時代に愛用していた。おいていったかなりやQを勝手にもらい受けて聞いていた。ただ「ブ~~ン」という真空管ラジオではよくある「ハム音」が耳障りでしょうがなかった。そこでこのハム音を治してやろうと思い立ち分解をはじめたがどうにもならない。今から思えば全く無謀でナンセンスな「レストア作業」だった。今でもおじさんに申し訳ないと思っている。結局バラバラに分解してしまい二度と鳴ることはなかった。トホホ...
それから何十年も経った今、その「反動」が出てきた。れいによってオークションで簡単に手に入るようになり、少年時代の「屈辱」をガソリンに「名誉挽回?」の挑戦をすることになった。とは言っても小生の特異な趣味では無く、最近このような「趣味」がブームになっているらしい。オークションの入札状況を見ても「この国のどこが不景気か?」と首をひねるくらいである。特にこの「かなりやQ」は人気が高く落札価格は5千円程度から程度の良いのは3万円程度で落札されることもある。今回は約9千円で落札した。
この時点で粗大ゴミを高額で買う神経自体が「ビョ~キ」と評価される方もおられるが...(^^;;;
今回入手したのは写真のように薄いブルー色「不動品」だった。おじさんの元愛用機とおなじである。うれしいことに汚れてはいるが部品の劣化が少なくて程度が良かった。ここ数年で5台目のかなりやQだが今回は「当たり」である。このレストア日誌は、不動のジャンクラジオを復元するまでのレポートである。

かなりやQの本体後面

手始めはまず目検のチェックをする。
決して直ぐに電源を入れてはいけない。劣化したコンデンサなどが爆発してメチャメチャになってしまうことがあるからだ。以前にオーストラリアから安価で入手した機種は、前オーナーがAC250V(オーストラリアの家庭用の電圧はそうらしい)をかけて、整流管回りの配線が黒コゲで抵抗が吹っ飛んでいたことがあった。このかなりやQはそんな無茶な目には遭っていないらしい。

ほこりのじゅうたん

本体シャーシにホコリが層になってたまっている。キチャナイ!

前オーナーの改造箇所

 前オーナーの改造箇所を見つけた。
スピーカ出力(8Ω)にイヤホジャックを配線している。外部スピーカと切り替えて聞いていたのだろうか?
スピーカを止めるネジが1本無くなっている。また、周波数ダイヤルの指示針がビニールテープで補強されている。分解したときに折ってしまったのか。

配線のようす

 レトロな部品が目立つ。ペーパコンデンサの蝋(ロウ)が溶け出してホコリを吸っているが、まだマシだ。やっぱ今回は「当たり」だ。うれし!
ハンダ付けは見事。プロの仕事ですなあ。

レストアの必需品

 作業には必ず回路図が必要。入手できない場合は仕方無いがあった方が作業の成功率は断然高くなる。
この時代の真空管ラジオはケースの裏などに貼り付けている場合が多くとても助かる。写真の回路図も貼り付けていたものを何回も拡大コピーを繰り返して作成した。回路図(回線図)の他、部品配置図やダイヤルの糸かけ図もある。
また、元の状態を確認するためにデジカメで写真を撮っておくのも非常に有効である。お医者さんがレントゲンで手術をするのと似ている。

分解作業開始

 まずは分解して徹底的に清掃を行うことろからはじめる。
真空管をはずしたところ。ここでバリコンの糸かけとダイアル針をはずしておく。

 本体シャーシーとスピーカをケースからはずしたところ。
ネジなど小さな部品は無くさないように部品箱に入れておく。

 前面の透明パネルもはずしたところ。これで完全に分解された。

  シャーシの裏面、配線のようす。上部のひどいホコリとは異なり比較的きれいだ。
入念に部品の状態や配線の状況をチェックをしたあと、ACコンセントの端子間の抵抗値を測る。約400Ωあった。通常100~数100Ω(電源SWON)あるはずなので真空管ヒータやパイロットランプなどの断線はなくOKのようだ。

恐怖!!の電源投入(初期検査)

 ここが一番怖い (^^;;;
ヘタすると大音響とともにそこらの部品が部屋中飛び散ったり、火花やケムリが出るのがこの瞬間だ。
電源を入れて、B+電圧(交流が整流・平滑された直流電圧)が規定の電圧を出しているか?真空管が異常でないか?ケムリは出ないか?燃えないか?爆発しないか...(笑)等をすばやくチェックする。
トランスレスラジオの場合金属に手を触れると100Vの直撃を受ける恐れがあるのでツマミをつける。
おそるおそるスイッチを入れる。緊張が走る。
んっ......何ともない。
写真は平滑用ケミコンの端子のB+電圧を測っているところ。

 幸いB+電圧は正常だった。
整流管の出力側に電圧降下用抵抗をはさんで2個の平滑コンデンサ(ケミコン)が接続されている。1次側が約100V、2次側が約80Vあれば合格だ。ホッと一息だ。低周波出力管のチェックもあるが、これは劣化部品を新品交換してから行う。
バンド切替スイッチのガリがひどい。受信不能。ボリュームがおかしい。真空管は5球とも大丈夫そうだ。パイロットランプも点灯している。このランプが切れていると真空管も痛んでいる可能性が高いらしい。 問題のケミコンは規定通りの容量値があり元気だった。

 これがおそるべし"ケミコン"。
古いラジオの電源をいきなり入れると爆発するらしい。ST管というなすび型の真空管ラジオの場合、かなりの確率で爆発するらしい。お~こわ...

詳しい方の中には「ケミコン再生機」なる治具を使用する人もいる。いきなり規定の100Vをかけるのではなく数10Vから徐々に電圧をかけていくと元の性能に戻すことができるらしい。しかし私は迷わず新品部品に交換する。
またケミコンは、整流された脈流(交流と直流との中間)を直流に変換する役割を果たす部品なので、性能が悪いとブ~ンというハム音がでる。容量値が大きいほどハム音が出にくくなるらしいが極端に大きくすると真空管を痛める。かなりやQのケミコンは60μFと40μFを使用している。

劣化部品の交換

 さきほどのケミコンをはじめコンデンサは経年劣化しやすいようで、極力新品に交換する。当時のペーパーコンデンサなどはすでに廃品種になっており、現行の部品で代用する。コンデンサは種類が多く細かく言えばキリがないが、耐圧さえ気を付ければ何でも良いようだ。ただし、電解コンデンサ(ケミコン)と発振回路用のマイカ or スチコン、そして一般用の使い分けが必要。
一般用コンデンサは、フィルムコンデンサで代用する(写真の新品コンデンサ)。耐圧の高い(100V以上)のは種類が限られる。使いやすいセラコンは、50V耐圧までがほとんど。

 写真左側の縦型小コイルの下の部品で、白いコンデンサがスチコン(ここでは2800PFと、左端にあるのが450PF)で、その左の茶色で丸っぽいのがディップマイカコンデンサである。これらは温度変化に対して容量変化がわずかで温度特性が良く、発振回路で使う。スチコンは廃品種だが今でもわずかに流通している。マイカは性能は良いが高価だ。

 ほぼ部品交換を終えた状態。
容量計で新旧の測定をしながら作業している。完全な不良部品はなかったが劣化が進んでいた。

 部品交換作業を完了したところ。
最近の部品は小型化されて、シャーシ内部がガラガラになった。
抵抗は、一部測定をしてチェックしたが、一応劣化はないとして、今回は交換しなかった。

火入れ式(^^)/

 配線をもう一度入念にチェックし、真空管を差し込み、簡単なアンテナをつないで電源を投入する...鳴った!
NHK第一放送が受信できた。かなり良い音で鳴っている。
しばらく聞き入ってみる.....
こんな時はなぜかラジオ深夜便が良く合うんですよねえ。タバコがうまい...
至福の時だ。
この段階で、取り外したケースやパネル、ツマミの洗浄を行う。これでかなりきれいになった。

 異変に気がついた。
ボリュームで音量が絞り切れない。かなり大きい音がなる。調整は効いているようだが、小さい音にならない。
アンテナの長さで音量調整をしなければならないのではどうしようもないなあ(笑)

ボリュームの分解と接点復活

 ボリュームを本体からはずして分解してみる。
3点の抵抗値を測ったが、最大が1MΩもある。500KΩのボリュームなのに..
最小値も数10KΩある。やっっぱりおかしい。
このボリュームは2連構造で、可変抵抗(ボリューム)と1回路の電源スイッチとなっている。
4カ所のツメをはずしたところ

 バラしたところ。可変抵抗部分。

 電源スイッチ部分

 小音量に絞る部分の抵抗膜が見事にハゲている。あ~あ~。接点洗浄剤をかけすぎたかなあ...

 表面を丁寧に洗浄してから接点復活剤を少量つけて組み立てた。

 やっぱり症状は改善せず、不良部品に認定。
代替部品の入手は困難である。このボリュームは、シャフトが4.3cmあるが最近はこのようなものは出回っていない。1台目のかなりやQの時は、短いシャフトの同規格部品を日本橋で買ってきて、パイプでつないだ。今回はどうしようか。
ヤフーオークションで探していると、同規格のが見つかった。さすがヤフオク!ただし1連のボリュームのみ。シャフトはぴったり4.3cmである。即落で¥500なので入札した。電源スイッチは別の場所につければいいや(kazu)。

代替え部品が到着するのを待つかなりやQ

ということでボリュームが到着してから続きを書きます。2005/1/16夜 kazu
続きは↓です

かなりやQ 真空管ラジオレストア日誌その2(調整・仕上げ編)

(Photo)


かなりやQブラック色

かなりやKS(かなりやシリーズ姉妹機)