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オタクは得してる?思い入れのラジカセ SONY CF-1450 レストア日誌~1日目

ラジオの時代の終焉?

SONY CF-1450大きな画像

(インターネットのせいで?)ラジオが廃(すた)れた...なんて、アナログラジオ放送が、現在版悲劇のヒロインになっている。が、しかし...そうじゃ無いだろ!って思う。

NHKのラジオ深夜便が、どの時間帯も常時70万人聞いていて、23時から翌朝5時までのべ200万人~300万人の聴取者がいるって調査結果(2009年)があるのに、何言ってんの。
私も深夜に及ぶ仕事のお供にと聞き始めてもう10年になる。今や24時間NHK第一を点けっぱなしだ(ただし、キモくて腹が立つ国会中継は絶対聞かない)。ながら族の仕事や勉強を決して邪魔しない、そして災害など、何かあった時は一番頼りになる。
ラジオ深夜便は、偏向、ねつ造、やらせ放送局と言われながらもNHKの良心だと私は思っている。これほど安定した大きな支持を得ているNHKラジオ番組は凄いと思う。
にもかかわらず、世間でラジオが廃れたと言われる原因は、民放に多い低俗、軽率、軽薄、高慢、勘違いが見事に揃った五月蠅い(うるさい)だけのくだらない番組が多すぎるからだろう。テレビ放送に至っては言わずもがなである。ちょっと前は「BSだけは良い」だったが、ここ最近は老弱男女こぞって「YouTubeが良い」だ。

でも、関西で例えるなら「ありがとう浜村淳(MBSラジオ)」のような良い番組が多ければ、ここまでラジオが廃れる事は無いはずだ。

ラジオを聞かなくなったのは、実はもう一つのもっと大きな原因があると思っている。

それは、ラジオ機器そのものが「面白く無くなった」からだと思う。安けりゃ良いってもんじゃねえだろ、である。

元ラジオ少年世代の幼少の頃は、無線・ラジオは憧れの象徴だった。5球スーパーラジオの自作にBCLラジオと、ラジオ受信機器に強い興味と憧れを抱き、大いに知的好奇心をくすぐったものだ。
しかし時代は流れて、ラジオ受信機なんてものは時代遅れの売れない工業製品と化し、国内外の電気メーカのどこもがラジオには見向きもしなくなり、思わず衝動買いしそうな魅力的なラジオ機器をめっきり見かけなくなった。だからラジオは廃れたのだと思う。

つまり、ラジオ放送のコンテンツ良否以前の問題で、置いておくだけ、見てるだけ、触るだけ、音が出るだけ..で嬉しくなるような魅力的なラジオ機器が無いのだ。同じ聞くならとことん楽しみたいって思いである。ラジオオタクの一人としては、魅力のあるラジオ機器があれば、はっきり言ってラジオ放送の内容なんぞはどうでも良い、二の次なのである。だから、控えめに適当に鳴っているラジオ深夜便なんかが丁度良いのである(笑)

「ラジカセ」レストアの依頼 SONY CF-1450

そんなところに、元ラジオ小僧である戦友から、ある依頼が舞い込んだ。

戦友がラジオ小僧時代に、親父さんに買ってもらった思い入れの「ラジカセのレストア」である。実はその依頼は随分前から聞いていて、メールや電話で話す度に依頼を受けていた。ラジカセのレストアはあまりやった経験がないけど、大事な戦友の頼みだからやってみようとずっと思っていたが、いつまで経っても話だけで一向にモノが届かない。忘れたのか?自分でやろうとしてるのか?興味が無くなったのか?としばらく放っておいたら、ついに届いた。それも同じ機種が3台も...(笑)
SONY CF-1450

SONY CF-1450

よくもまあ...集めたよね同じモノを。

そこでハッと気が付いた。人の事言えるかつーの。ICF-5800に、ICF-SW1S、ICF-5500(A)...と、何台買ったかっちゅーの。ラジオオタクどもの典型的な行動パターンですね(苦笑)。

SONY CF-1450

SONY CF-1450
到着した依頼品は、「SONY CF-1450」ラジカセだ。

ラジオ・カセット・レコーダー

ラジオ黄金時代に、もう一つ当時の若者から数多くの支持を集めたものがある。「ラジカセ」である。
ラジカセ」は、「ラジオ・カセット・レコーダー」の略称だと長い間信じていたがそうじゃないらしい。型番プレートを見ると、「CASSETTE-CORDER」とある。ということは正しくは「ラジオ・カセット・コーダー」なのか??ま、いいや。

戦友からの今回の依頼内容は、
どれも一長一短の3台を、移植しまくって一台の完璧なCF-1450に仕上げて欲しい」とのことだ。ただし「ラジオが3バンドとも鳴れば良く、カセットはどうでも良い」という条件。

SONY CF-1450は、たま~にヤフオクに出てくる。しかも安価で。ただし、動作確認してませんだとか、電源入りませんだとか、アンテナ折れてますとか、どれもこれも曰わく付きのものばかり、そういうのを約一ヶ月ほど追っかけていたら、知らぬ間に3台集まったとのこと。「送料でボリやがって!」とボヤいていた。

戦友にとってSONY CF-1450は、親父さんにせがんで買ってもらった、思い入れの強いラジカセだそうだ。これで深夜放送にハマったり、山奥の田舎から、偶然東京のFM局が受信できて、それが「山岳回折現象」なんだと知ったりと、このラジカセは、優秀なラジオ小僧の育成に多大な貢献をしたと思われる。

彼とのオタ話の中で、特に興味を抱いたのは「音の通りが良い」という意見だ。最近のラジオって音質が良好な反面、音の通りが悪くて聞きにくい。特にニュースの音声なんかは、音量を上げないと聞きにくい。当時のラジオやラジカセは、音の通りが良くて音量をあげないでもよく聞こえた。と言っている。

それは老化現象の賜物だというほど彼は歳を喰ってないので、やはり何か回路的に違うのだろう。最近のラジオは、ほとんど例外無く、局発はPLLシンセサイザのデジタル表示、ラジオの高周波回路はラジオ専用のワンチップIC、低周波アンプもワンチップICという構成が定番だ。どこのメーカのラジオでもみんな同じ音に聞こえる。
一方、当時のラジオ(ラジカセ)は、局発はコイルとバリコンのLC発振、高周波から低周波までトランジスタ、出力はトランス型だった。当時は、メーカや機種によって回路が多種多彩で、実に個性的なラジオやラジカセが多かった。こんなところで「音の通り」の違いが現れているのかも知れない。

SONY CF-1450

SONY CF-1450

CF-1450は、1970年前半にSONYから販売されたラジカセだ。

カセットと、FM/MW/SWの3バンドラジオが付いている。

背面にある型番プレートの横に、クリスタル(水晶発振子)端子がある。多分NSB(日本短波放送、今はラジオNIKKEI)を容易に選局する機能だと思う。

ラジカセのレストア・整備・修理について

ラジオカセは、ラジオよりはるかに構造が複雑で手を入れにくい。下手に分解してしまうと、今度は組立ができなくなってトホホの結果になる確率が高くなる。サービスマニュアル(SONYではサービスガイドと呼ばれる)の入手はほとんど絶望的だ。

そこで、手探りで分解して行くことになる。複雑な配線や機構部品を、壊すことなく分解し、それを間違いなく組み立てて元に戻すには、やはり綿密なメモと、写真撮影が重要だ。このページで公開している写真の枚数は約30枚程度だが、レストア用として3倍以上の写真を撮っている。それにメモ書き多数。

今回のように、同じ機種が3台もあれば、1台は練習用に使っても良いだろう。誤って部品を壊してしまってもあと2台あるし、バラしておけば予備部品にもなる。

今回のレストアは、同機種3台をすべてバラし、良い部品だけを組み合わせて1台の完品に仕上げできれば良い。

というわけで、内部の構造を把握するために、1台を完全に分解してみることにする。

SONYラジカセ CF-1450を分解する(手順解説)

まずはボディ周りの突起物を外す。

SONY CF-1450

SONY CF-1450
CF-1450は、スライド式のVOLUMEとTONEレバーのツマミと、ラジオ選局用のツマミを引き抜く。ただし、カセットの操作ボタンは、テープデッキ機構と一体型なので取り外しは不要だ。

SONY CF-1450
裏ブタの上部寄りに5箇所の3mmネジを外す。さらに、クリスタル端子の直ぐ横の1箇所の2.5mmネジを外す

SONY CF-1450
そ~っと底部から裏ブタを持ち上げる。すると、AC100V端子に経由する3本の電源用のリード線(赤・青・黒)が電池室に配線されているのではんだを外す。次にロッドアンテナとラジオ基板をつなぐリード線があるので端子から引き抜く。

SONY CF-1450大きな画像
裏ブタが完全に外れて基板が見えるようになった。
バーアンテナのフェライトコアの表面に黄色いカビが発生している。汚い!

SONY CF-1450
カセットメカ部のアップ。サビみたいなものが一様に付着している。このカセットメカは使えそうにない。

SONY CF-1450
ネジ止めされていた紙製のシールド版を外したところ。アンプ基板だ。始末の悪い、ネバネバに劣化したスポンジシールが目に付く。

SONY CF-1450
作業机にのったCF-1450
ケースと基板の分離手順を思案中。ちょっと休憩

SONY CF-1450
作業再開
基板の周りにある延長ネジ(マイナス穴)を外す。周辺に数本ある。
ケース底部に、短いネジ(プラス)があるので外す。

SONY CF-1450
上部と中央部の2箇所にある長いビス(プラス)を外す。

SONY CF-1450
カセット収納ホルダーは、開けた状態で、両脇を押さえると外れる。
ホルダーにつながっているバネを外す。
内部の右上に3mmネジ(プラス)があるので外す。

SONY CF-1450
上記のネジ類を外したら、基板を持ってそ~と持ち上げる。
以下の4種類の配線をメモを取りながら基板からハンダを外す
・照明ランプのリード線(赤・灰色)
・スピーカリード線(緑・黄色)
・LIGHTスイッチリード線(青・白)
・マイク用2芯シールド線(赤・白・シールド編線)

SONY CF-1450
4種類のリード線を外せば、ケースと基板が完全に切り離しができる。
基板を底部から持ち上げて、カセットの操作レバーを引き抜くように動かす。

SONY CF-1450
ケースの裏側。
直径12cm(8Ω/2W)の大型スピーカーが見える。

SONY CF-1450
カセットメカ機構(左側)とラジオ基板(右側)

SONY CF-1450
裏側のプリント基板をめくるとアンプ回路の部品が見える

SONY CF-1450
カセットの駆動部分
6本の黄色のリード線がつながっている金属片は、プッシュプル構成の低周波電力増幅用ゲルマトランジスタ

SONY CF-1450
スピーカと、LIGHTスイッチ等を外して洗浄の準備をする。
全面パネルにあった「SONY」ロゴは、裏側の穴からドライバーで突いて外す。
ネバネバに劣化したスポンジは、洗浄前に、指で丁寧に除去する。無水アルコールやアンモニア希釈水を塗ると効果的。工業用アルコールは、プラスチックケースまで溶かしてしまうので注意。

SONY CF-1450
ケースやツマミは、シンプルグリーンで丁寧に洗浄する。油汚れや、手あかやホコリが綺麗に取れる。
ボディは柔らかいブラシを使う。文字板などの透明アクリル部分は、柔らかいガーゼまたは指を使って優しく磨く。

SONY CF-1450
シンプルグリーンを吹きかけて、しばらくしてから柔らかいブラシで丁寧に磨く。これを2~3回繰り返す。指でケース表面を擦ると「キュッキュッ」という感触になれば洗浄OK。

SONY CF-1450

SONY CF-1450
洗浄を終えたケースやツマミは、日陰で乾燥させる。
エアーコンプレッサーがあれば理想。水気を飛ばして乾燥させる。

レストア1日目~終了

1日目の作業は約3時間。手探りが多かった分少し時間がかかった。

ラジオ基板をのぞいてみた。

SONY CF-1450

悪いニュースだが、あの悪名高きトランジスタ「2SC710」が使われている。これらがラジオ不調の原因となってるのは恐らく間違いないと思われる。こうなったら全数交換しか無い。

2SC710は、NEC製造のラジオ用TRだが、これがSONYで使われるとトランジスタ不良が頻発した。症状は「ラジオの音声にノイズが入る」とか「発振が不安定」などだ。原因はどうもトランジスタ固有の問題じゃなくて、SONYの製造工程に問題があったようだ。「水虫」と比喩されるように、3本のトランジスタのリード線が真っ黒けになる。リード線は無関係だろうという説は思慮不足で、外観で真っ黒ということは、シリコンケースの内部まで同様の状態になっていて、半導体との接合部分が不良をきたしているようだ。当時のSONYのBCLラジオ、ICF-5500やICF-5800、ICF-5900でも多用されており、現在のラジオ修理では無条件交換が常識となっている。

トランジスタの寿命は半永久的が一般常識だが、SONYのラジオ、ラジカセにはこの格言は当てはまらない。

というわけで、レストア2日目は、ラジオ基板とアンプ基板をさらに分解する作業を行う。

つづく  (kazu)

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