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オタクは得してる?思い入れのラジカセ SONY CF-1450 レストア日誌~3日目

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SONY CF-1450の2SC710トランジスタ

ラジオ回路基板の部品交換作業

部品の取り外しの手順は、

(1)プリント基板の部品側(表)を見て、取り外す部品の位置を確認する

(2)次に、ハンダ面側にひっくり返して、取り外す部品のハンダの位置の当たりを付ける

(3)ハンダ吸引ポンプで、盛り上がったハンダを吸引して取り除く

(4)ハンダ吸い取り線で、キレイにハンダを取り去る

(5)部品を基板から抜き取る

(1)~(5)の手順を繰り返す。込み入った箇所は、部品の足を特定するのはカンタンではない。サービスマニュアル(サービスガイド)の部品配置図があれば良いが、しょうがないので、大体の当たりを付けて、試行錯誤を繰り返して行く。

まずは、大きな電解コンデンサ(220uF/6.3V)から取り外しを始める。

劣化する可能性が高い電解コンデンサは、容量を測定しておく。

SONY CF-1450の2SC710トランジスタ
やっぱり...220uF/6.3Vの容量値が、約400uF。容量値が2倍に増えている。新品交換の対象だ。

ただし、この大きなサイズの電解コンデンサは注意が必要だ。通常は、(+)極と(-)極の2本のリード線が出ているのが普通だが、これは、(+)極、(+)極、(-)極と3本のリード線がでている。2個の電解コンデンサが実装されているのだ。最近の電解コンデンサでは見かけないが、ICF-5500やICF-5800などでも、このタイプのコンデンサが多用されていた。

SONY CF-1450の2SC710トランジスタ
3極タイプ電解コンデンサを、2本の新品に置き換える。この場合、(-)極のリード線が2本になるのでこのままではプリント基板にささらない。、プリント基板の(-)用の穴を、1.0mmくらいにドリルで広げて実装するようにする。

SONY CF-1450の2SC710トランジスタ
ハンダを除去する位置を間違った例(^^;;
無理に引き抜こうとするとこのようになってしまう。電極が抜けてしまった。

電解コンデンサの交換を終えたら、次は2SC710トランジスタを全数新品交換する。CF1450のラジオ回路基板には、7本の2SC710トランジスタが実装されている。他の型番は無し。これを、代替定番トランシーバの一つ、2SC1675(NEC)に交換する。

2SC1675 の規格
メーカ: NEC
用途: RF, Conv, Mix, Osc
VCBO: 50V
VEBO: 5V
Ic: 30mA
Pc: 250mW
hFE: 90
FT: 250MHz

SONY CF-1450の2SC710トランジスタ
左が取り外した2SC710。右が代替の2SC1675。
2SC710の足が真っ黒に変化しているのがわかる。元のリード線は真鍮(しんちゅう)?のような色だ。

SONY CF-1450の2SC710トランジスタ
取り外した2SC710のhFE(電流増幅率)を測定してみる。左が2SC710、右が新品の2SC1675
2SC710のhFE公称値は90だから結構落ちている。まあバラツキもあるので何とも言えないが。
この基板の7本の2SC710は、50~90の範囲だった。
hFEが50前後まで落ちている2SC710は、大抵トラブルを抱えている場合が多い。

SONY CF-1450の2SC710トランジスタ
クラシックバレエの足上げ状態の2SC710。極性は左からベース・コレクタ・エミッタ。エミッタの足を持ち上げて、エミッタ抵抗にのせている。

SONY CF-1450の2SC710トランジスタ
代替の2SC1675に置き換えた状態。極性が反対になるので、向こうを向かせて、左からベース・コレクタ・エミッタとなる。

SONY CF-1450の2SC710トランジスタ
2SC710の有名な不良(SONYにおいて)である”水虫”が軽症の例。ろうに埋もれていたので軽症で済んだらしい。
ということは、実装時に何かの付着物が、長い時間空気に触れて黒色に変色させたようだ。トランジスタの製造過程での可能性は考えにくいから、やはりSONYの製造工程で何かあったのだろう。迷惑千万

SONY CF-1450の2SC710トランジスタ
CF-1450のラジオ回路基板で取り外した部品。2SC710は、この後、データ収集に使用する。

SONY CF-1450の2SC710トランジスタ
不良部品の交換作業を終えたCF-1450ラジオ回路基板

SONY CF-1450の2SC710トランジスタ
ラジオ基板のハンダ面。
ショート防止用のテープも新品に貼り替えておく(基板右側の抵抗)。

SONY CF-1450の2SC710トランジスタ

次は、アンプ回路基板だ。大量の電解コンデンサを全て新品交換する。

電解コンデンサは、電子部品の中でも最も劣化が早い部品である。また電解コンデンサは、ラジオやアンプの音質に関係してくるので、古いラジオやアンプは、無条件に電解コンデンサを新品交換した方が断然音が良くなる場合が多い。

radio1banの常連のお客様に、6石トランジスタマニアがおられる。この方はとりわけ、当時のチューブラ電解コンデンサに特別な想いをお持ちだ。ラジオ深夜便を聞きながら、ラジオのフタを開けて、古ぼけたチューブラコンデンサを眺めていると、ラジオ工場で懸命にハンダ付け作業をやってる若い女工さん達が目に浮かぶ...とおっしゃる。
名付けて「チューブラ・フェチ!」(^^;;;

このようなチューブラ・フェチ..いや、お客様の為には、時代考証対応型偽装改造部品スペシャルが最適だと思いますが、手先が不器用な私にはちょっと無理っぽいです...

つづく

kazu

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