この基板は、知的電子実験のノリで作りましたが、実は、ガス会社指令室、
大手メーカ工場の防災管理室に採用されています。ナント2011年の現在でも稼働中です。
NHKが送出した津波警報(第2種緊急警報信号)を受信中
現在も稼働中のEWS緊急警報放送受信機システム(パトライト製赤色回転灯付き)
2006年に作りました。
NHKが送出した試験信号を受信中
「EWS緊急警報放送復調基板 EWS Base 2」は、津波、大地震発生時の、早期避難行動喚起ツールです。
ラジオのイヤホンジャックにつないでおくだけで、津波警報や大地震が発生したとき、NHKから送出されるEWS緊急警報信号を自動的に受信し、その信号の内容を正確に復調する基板です。
電子工作の腕をふるって、わが家の、オリジナル防災システムを構築できます.....かもね。
↑は、復調基板に、ラジオのスピーカON/OFFと赤色LED点灯機能を追加した例です。
EWS緊急警報放送とは?
緊急警報放送(EWS)は、大地震や津波警報が発生した時にNHK等の放送局から「ボロボロボロ」という信号が送出されて、自動的にラジオやテレビの電源が入り、放送を聞いて安全に避難できるように、という目的のデータ通信放送です。
NHKが開発し、1985年から開始した、緊急時の災害通報システムです。古いシステムですが、今後デジタル放送の時代になっても引き続き放送されます。
緊急警報放送対応のメーカ製ラジオは、PANASONIC パナソニックの
RF-U350-S 1台のみになってしまいました。寂しい...
EWS緊急警報放送復調基板
300円ラジオからEWS信号を受信中
300円ラジオからの緊急警報放送を受信している様子
警報受信と同時にラジオのスピーカON、赤色LED点灯制御の応用回路を追加。
基板を透明ケースに収めた例 (県総合防災課デモ用)
■FM/AMラジオのイヤホンからの音声出力をつなぐことで動作します。
■この製品は、FSK(Freauency Shift Keying)信号を電気的に復調し、PICマイコンで信号を処理する
機能を持っています。
緊急警報信号をパソコンで表示させた例。
受信したビット列をそのまま”1″と”0″で受信する。(2004年9月東海道沖地震の津波警報)
↓PICマイコンによる信号解析結果をパソコンに表示(2004年9月東海道沖地震の津波警報)
製品の最終テスト風景(2006.1.31)
このテスト完了をもって製品回路確定
機能
■緊急警報信号符号規格のすべてを復調します。
・第1種開始信号(大地震)
・第2種開始信号(津波警報)
・終了/試験信号
・地域区分
・年月日時
■警報信号を受信すると、信号を復調し、シリアルケーブル(RS-232C)を通じてパソコンに復調結果を表示します。
Windows付属の”ハイパーターミナル”か、基板に添付の”EWS解析ソフト for Access2000/XP”(フリーソフト)で画面に表示できます。
■パソコンに表示される内容は、”High”信号が”1″(31h)、”Low”信号が”0″(30h)の”ビット(表示)列”です。
■EWS緊急警報放送の「符号規格」がわかれば、復調した信号を解析し、信号の意味がわかります。
■復調信号が実験基板からパソコンに送信するタイミングは、無信号状態が0.25秒継続後、まとめて送信します。再び信号を受信すれば、復調処理、信号送信処理、待機状態を繰り返します。
緊急警報放送復調基板の外観 EWS_Base 2
緊急警報放送復調基板の仕様
■基板のサイズ: 100mm×70mm 高さ15mm突起物含む 紙フェノール基板
■復調信号: ”High” ”1” ”マーク” 1024Hz / ”Low” ”0” ”スペース” 640Hz
640/1024HzのFSK信号を復調
■通信速度: 64BPS
■復調IC: EXAR社 XR-2211 FSKデコーダICを使用
■解析・制御プロセッサ(CPU): マイクロチップ社 PIC16F648A
■音声入力: ラジオ、テレビやICデコーダ、パソコンなどのイヤホン端子を接続
■入力インピーダンス: 20KΩ (スピーカなどの8ΩでもOKです)
■電源: DC9~13V
■ビット解析、受信信号のビット送信処理に、Microchip社の PIC16F648Aを使用
■内蔵クロック4MHz
■ビットレート計算処理のタイマー割り込みに、32.768KHz水晶を使用
■待機時(無信号時)はSLEEPによる待機モード
■待機時からの起動タイミングは、XR-2211の、”Lock Detect”の”High”で起動
■起動→待機モード(SLEEP)への移行は、無信号状態が、250ms経過後に移行
■シリアル出力: DSUB-9(メス) RS-232C
■シリアルボーレート:
通信速度: 9600BPS
データ長: 8ビット
パリティ: 無し
ストップビット: 1ビット
フロー制御: 無し
■プログラミング: PICアセンブラ+MPLAB7.30
※PICのプログラムソースコードは公開しません
入出力仕様
入力(XR-2211) | ||
---|---|---|
音声入力 | ラジオなどの音声信号 ダイナミックレンジ: 10mV~3V rms |
出力(XR-2211) | ||
---|---|---|
LED1出力 | 赤LED マーク/スペース信号のいずれかに同期したとき点灯 EWS信号受信のパイロットランプ的役目 |
入力ポート(PICマイコン) | ||
---|---|---|
RB0 | 受信起動トリガー | XR-2211(6-PIN)から、LOCK DETECTを入力 |
RB3 | データ信号 | XR-2211(9-PIN)から、DATA (TTL)を入力 |
出力ポート(PICマイコンとLED) | ||
---|---|---|
RB2 (PIN8) |
USART(TX) 出力ポート |
シリアル(RS-232C)出力ポート EWS信号の判定確定後に、一括データ出力 |
RB4 (PIN10) |
LED2出力 | 緑LED 第1種開始信号受信: 等間隔点滅 第2種開始信号受信: 2点滅後消灯..の繰り返し 終了/試験信号受信: 点灯 ※解除は、RA5(PIN4)接続のリセットSWをON(アースショート)にする |
RB5 (PIN11) |
LED3出力 | 赤LED 無信号時: 消灯 信号に同期して点滅(マーク=点灯、スペース=消灯) ※解除は、RA5(PIN4)接続のリセットSWをON(アースショート)にする |
RA0 (PIN17) |
スイッチ出力1 | TTLレベル 第1種/第2種/終了・試験受信でHIGH(+5V) ※解除は、RA5(PIN4)接続のリセットSWをON(アースショート)にする |
RA1 (PIN18) |
スイッチ出力2 | TTLレベル 第1種/第2種受信でHIGH(+5V) ※解除は、RA5(PIN4)接続のリセットSWをON(アースショート)にする |
※上記出力ポートは、プログラムの変更を行えば、仕様の追加・変更が可能です。弊社までお問い合わせ下さい。
シリアル(RS-232C)出力データフォーマット仕様
<USART Message Format>
起動時: StartUp Message
EWS Signal Decorder [Revision 0.x.x]
Copyright(c) SYSTEMUSE,Inc. 2005-2006
受信データ:
ビットごとにASCII変換(“0” or “1”)して順次出力
“O”=30h “1”=31h
受信終了時:
[表示フォーマット]
== EWS signal type: <xxxxxxxxxx> ==
== Area: [nnnnnnnnnnnn:Alphabet,カナ,Code] ==
== Year: [YY] Month: [MM] Day: [DD] Hour: [HH] ==
符号種別: xxxxxxxxxx
終了/試験信号: “End/Test”
第1種信号: Class-1
第2種信号: Class-2
地域符号: nnnnnnnnnnnn: (12桁)
地域符号名: Alphabet,Kana,Code
Aplhabet:英字
Kana:カナ文字
Code:県番号 ※共通符号時は”–“と表示)
年月日時符号: YY MM DD HH
YY: 年
MM: 月
DD: 日
HH: 時
[表示例]
終了/試験信号:
== EWS signal type: <End/Test> ==
== Area: [001101001101:Kyotuu,チイキキョウツウ,–] ==
== Year: [02] Month: [03] Day: [31] Hour: [16] ==
第1種信号:
== EWS signal type: <Class-1> ==
== Area: [001101001101:Kyotuu,チイキキョウツウ,–] ==
== Year: [02] Month: [03] Day: [31] Hour: [16] ==
;
第2種信号:
== EWS signal type: <Class-2> ==
== Area: [001101001101:Kyotuu,チイキキョウツウ,–] ==
== Year: [02] Month: [03] Day: [31] Hour: [16] ==
;
回路図と基板パターン図
■EWS緊急警報放送復調基板回路図 (画像をクリックするとフルサイズで表示しますGIF形式)
■プリント基板パターン図ベタアースあり(画像をクリックするとフルサイズで表示しますGIF形式)
■プリント基板パターン図ベタアース無し(画像をクリックするとフルサイズで表示しますGIF形式)
PICマイコンプログラムの更新履歴
■現在の最新バージョンは、Rev.0.3.1です。2006.02.22
* copyright(C) SYSTEMUSE,Inc. 2005-2006 All rights reserved.
;* Rev.0.0.0 – 2005/11/10 Toyosato Uemura
;* 0.1.0 – 2005/12/13 Toyosato Uemura 基本版
;* 0.1.1 – 2005/12/21 Toyosato Uemura 改良版
;* Timer割り込み待ちSLEEPの削除
;* サブルーチンの再配置
;* 0.1.2 – 2005/12/24 Toyosato Uemura 改良版
;* 複数ブロック連続受信対応
;* 0.1.3 – 2005/12/27 Toyosato Uemura 改良版
;* RS-232Cスタートアップメッセージ追加
;* 0.2.0 – 2006/1/5 Toyosato Uemura 改良版
;* Timer割り込みの周期精度向上
;* シグナル終了判定の精密化
;* 0.2.1 – 2006/1/12 Toyosato Uemura 改良版
;* 終了判定を1/4bitから1byte判定へ
;* シグナル終了判定のメイン括り出し
;* USARTのゴミ送信抑止
;* 0.2.2 – 2006/1/13 Toyosato Uemura 改良版
;* EEPROM書き込み処理削除
;* 固定符号識別処理(暫定)
;* 0.2.3 – 2006/1/15 Toyosato Uemura 改良版
;* 1ブロック未満の無効信号はUSART出力抑止
;* 0.2.4 – 2006/1/19 Toyosato Uemura 改良版
;* 固定符号識別処理(種別判定)
;* 信号種別メッセージ送信
;* 0.2.5 – 2006/1/21 Toyosato Uemura 改良版
;* 固定符号識別処理(種別判定)独立化
;* 信号種別によるLED点滅(H/Wリセット待ち) ※一時停止
;* 0.2.6 – 2006/1/23 Toyosato Uemura 改良版
;* 可変符号識別処理
;* 地域・年月日時符号識別処置
;* 0.2.7 – 2006/2/6 Toyosato Uemura 改良版
;* LED2(PortB-4)符号種別表示(H/Wリセット待ち)
;* PortA0,1スイッチ出力化(第1種/第2種受信時) ※和歌山県総合防災課デモ仕様
;* 0.2.8 – 2006/2/10 Toyosato Uemura 改良版
;* 地域符号判定、文字コード化、USART出力
;* 0.2.9 – 2006/2/11 Toyosato Uemura 改良版
;* 水晶発振子の起動タイミング変更
;* PortA0,1スイッチ出力仕様変更 ※和歌山県総合防災課デモ仕様
;* 0.3.0 – 2006/2/12 Toyosato Uemura 改良版
;* CopyProtect設定
;* 0.3.1 – 2006/2/17 Toyosato Uemura 改良版
;* 変数領域の整列(用途別)
;* Subroutineの再配置
;* 符号種別判定の複数ブロック化
;* CopyProtect設定
緊急警報放送が受信できるラジオ受信機は?2017年9月現在
記事にあるradio1banの緊急警報放送受信機及び解析基板は現在販売していません。
現行機種で、緊急警報放送対応でお薦めできるラジオは、パナソニックRF-U350-Sだけです。
私は中古で入手して愛用しています。amazonではかなり安くなり、50%値引きが出ています。
最寄りのNHK FM放送を常時受信してEWS信号を待ち受けています。普通のAM/FMラジオですが、音はソフトでかなり良いです。受信感度はまあまあですが、聞きやすさはICF-EX5より1ランク上です。
(2017.09.08 kazu)