radio1ban(ラジオ1番) > 知的電子実験 > 電子工作 > 電子工作入門~ブレッドボードを使ってみよう【補足編】

電子工作入門~ブレッドボードを使ってみよう【補足編】

点滅回路のバリエーション

ブレッドボードを使ってみよう で紹介した回路は上手く組めましたか?。

乾電池2本(3V)で発光ダイオード(LED)を交互に点灯させる回路です。

左右にある2個のLEDが交互に点滅するという動作ですが、たったこれだけの部品を組み合わせることで実現できます。

個々のパーツ毎にその役割を簡単に説明します。

  • 抵抗: R2,R3
  • コンデンサ: C1,C2
  • トランジスタ: Tr1,Tr2

抵抗・コンデンサおよびトランジスタの組み合わせにより「マルチバイブレータ」と呼ばれる回路を構成しています。抵抗により制限される電圧とコンデンサの充放電を利用して、トランジスタのスイッチ機能を働かせます。また2つのトランジスタがOn/Offを交互に繰り返します。
抵抗値およびコンデンサ容量を変化させることで、切り替わりの周期を変えることが出来ます。

  • 抵抗: R1,R4
  • LED: LED-1,LED-2

抵抗はLEDに対して適切な電流を与えるためのものです。LEDは「光る」ことで、電気の流れを示すことが出来ます。

注意が必要なのは「LEDが赤色」という点です。一般的に赤色LEDは「順方向電圧 Vf」(詳しくは別途にて説明します)が 2.1V~2.3V 程度であり、乾電池2個すなわち 3.0V で点灯させることが出来る事からこの回路が組めるのですが、緑や青などのLEDでは「順方向電圧」が 3.0V を越えているものが多く、当回路に組み込んでも点灯させることが出来ません。

  • 電源: DC
  • スイッチ: PushSW

1.5Vの電圧をもつ乾電池2個を使用して3.0Vを発生させます。またスイッチにより、その電圧をOn/Offさせます。

ここではLEDを使用していますが、このLEDを別の部品、例えば異なる音色を発生するブザー2個を使ったり、あるいは別回路をOn/Offさせるリレーを使用したりする事で応用範囲が拡がります。


LEDの配置

さて、それではこれまでに挙げた回路パターンにもう一つ加えてみましょう。

LEDの配置を、トランジスタのエミッタへ移動しました

回路図を見ていただければお判りかと思いますが、LEDを取り付けている場所を変えてみました。Part3の回路図では、トランジスタの上側、”コレクタ”と呼ばれる部分にLEDを配置していましたが、今度はトランジスタの下側、”エミッタ”と呼ばれる部分に配置してあります。

LEDの点滅に変化があるかどうか、実際に組んでみて試してみて下さい。


異なる点滅周期での変化

最後にもう一つ、回路パターンを紹介しましょう。

LED-1とLED-2の配置をそれぞれ違う箇所に置いてみました

LED-1はPart3の回路と同じ位置に、LED-2は上述Part4の回路と同じ位置に配置しました。

Part3やPart4から考えると、何も変わらないのではないか?と思われるかも知れません。しかし組んで作動させてみるとどうでしょう?。回路図にも書いてしまってますが、点滅パターンが変わります。どのように変わるかは・・・実際に試してください。

こちらが製作例です。

2つのLEDが不等間隔で点灯します

なぜ変わるのか・・・、LEDは「光る」という事も重要な機能ですが、それ以前に「ダイオード」であるという事です。ここで詳しくは説明しませんが、ダイオードが持つ「単一方向のみに電流を流す性質(”整流作用”と呼びます)が関係しています。


点滅周期について

ここまでで紹介した回路(Part3~Part5)は、既に書いたとおり「マルチバイブレータ」と呼ばれる非常によく知られた回路です。

トランジスタと抵抗・コンデンサを組み合わせることにより、一定の周期をもつ振動を発生させることが出来ます。理論的な詳しい説明はここではしませんが、こちらで紹介した回路で設定されている各種の値では、以下の式でその周期を求めることが出来ます。

t(周期)= 1.2 × R(抵抗値) × C(コンデンサ容量) (単位:秒)

※この式の”1.2″という数値は定数(決まっている値)ではなく、使用している電源電圧とLEDによる電圧変化から求めた値ですのでご注意下さい。

それでは実際に計算してみましょう。ここで示す抵抗はR2(またはR3)、コンデンサはC1(またはC2)です。またその単位は抵抗の場合Ω(オーム)、コンデンサではF(ファラッド)に統一する必要がありますので注意してください。

抵抗:10kΩ = 10×103 = 1.0×104
コンデンサ:100μF = 100×10-6 = 1.0×10-4

t(秒) = 1.2 × 1.0×104 × 1.0×10-4
= 1.2 × 100
= 1.2

答えは 1.2秒 となりました。この1.2秒という周期は、1つのLEDが点灯して消灯し、次に点灯するまでの周期です。

もちろん個々のパーツには若干ながら誤差(精度)を持っていますので、厳密には数%~十数%の違いが出ますが、見たところでは概ね合っていると思っています。実際にブレッドボードで回路を組まれた方、いかがでしょう?。


最後に

ここまで「ブレッドボード」を使って基本的な使い方と、そしてそこで紹介した回路について説明してきました。 電子回路工作を「趣味」として付き合って行くには非常に有用な道具であるという事がお判りいただけましたか?。それだけでなく電子回路の仕組みについて理解する助けにもなっていますね。
(uecchi)

買い揃えるには 2017年版

ブレッドボードがとても人気ですね。たくさんの方が本記事を読んでいただいていますが、「自分でもやってみよう!」って方にお薦めしたい商品があります。

電子工作では欠かせないメーカーサンハヤトが、小型ブレッドボードに、LED点滅回路パーツを揃えたセットが安価で販売されています。これから電子回路をやってみようという方にお薦めします。amazonで購入できます。prime指定商品、amazon.co.jpが販売、発送します。

(2017.09.15 kazu 追加更新)

radio1ban

カテゴリー: 電子工作 タグ: ,