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レトロ(昭和33年)6石ポケットラジオの修理 ~NEC NT-620~【一応完了】~

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修理の再開。思わぬラッキーが!?

折れたバー・アンテナが固まったところで修理を再開することにする。

それにしてもこのラジオの、レトロなデザインがとてもイイ!いかにも”手書き文字”って感じで...
当時はダイヤルあたりの”V”字の”6”がおしゃれなので人気があったらしい。どこをどうみたら「おしゃれ」なのか私にはわからないが...

“6”は、「6石(トランジスタの数)スーパーヘテロダイン式トランジスタラジオ」という意味をあらわしている。
ラジオの性能から言えば「5球スーパー(真空管の本数)ラジオ」と同等である。
トランジスタの数が1つ多いのは、低周波電力増幅回路で、トランジスタ1本では”力不足”なので、2本のトランジスタでプッシュプル回路
という”2重連増幅回路”にして、スピーカを鳴らすに充分な利得を稼いでいるためだ。このラジオよりちょっと新しくなるが、2SB77、2SB89、2SB475、2SB405あたりがよく使われたようだ。一方真空管は、有名な6AR5、6AQ5や、100V用で30A5あたりが、1本で数Wの電力増幅をやってのける。実にパワフルだ。

本業が忙しくて中断している間に、実は同じNT-620ラジオをもう1台入手した。赤色ボディである。NT-620は、ボディ色が、白、赤、緑、黒..など多くの色違いバージョンが発売されていたらしい。

入手したNT-620は状態がかなり悪く、赤色ボディは、欠けやワレがひどい。サビも進んでいる。もちろん鳴らない。

ところが、バーアンテナは折れていない。ラッキー!!使えるぞ。
アンテナコイルはばらけて断線寸前。バリコン、スピーカー、SW付きボリュームなど大型部品は使えそうだ。

↑左が修理中の基板。右が今回入手した赤いラジオの基板。固定剤が塗りつけられていて使えない。

“ガリオーム”を交換

↑左が修理中のもの。”ガリガリ”、”ガサガサ”鳴って使い物にならない。電源スイッチもクリックが甘く、ちょっと触ると電源が入ったりする。というわけで赤ラジオから”良品”を取り出した(右側)。ベークライト(みたいな)で覆われていたのでハズしてみた。ピンセットでハズしたので、ちょっと欠けてしまった(^^;;

少量の接点洗浄剤でキレイにする。そのあと修理中のラジオに取り付ける。

ポリバリコンの交換...トホホ

修理中のラジオのポリバリコンは、あの有名なミツミ社の、PVC-2Xというポリバリコン。この時代のラジオにはよく使われているおなじみのポリバリコンだ。修理中のラジオのそれは、羽根が曲がって接触しているようで、高い周波数付近で”バリバリ”と鳴る。(↑右側のバリコン)

部品箱にあった、PVC-2(メーカー不詳)に交換することにした。(↑写真左)

↑きれいに収まった新品バリコン。爪で引っかけて塗装がハゲてしまったNECのダイオード。

↑基板裏側。キレイに配線が終わった。

が.....しかし。

ダイヤルツマミが付かない...バリコンから出ているシャフトが短いのだ。(^^;;;

↑並べてみるとあきらかに短い。並べなくても”一目見たらわかるやろ!!”って?その通りですね(^^;;

仕方がないので、新品バリコンをはずして、怪しいが、赤ラジオのバリコンをハズして、修理中のラジオに取り付けた。大変むなしい作業である...

ところでミツミのポリバリコン“PVC-2X”だが、同じ型番でも上記のようにシャフトの長さが異なることがある。供給先ごとに個別に対応していたのだろうか?

徹底的な劣化部品の交換

割ってしまったコンデンサ。新品交換します。

劣化しやすいコンデンサはすべて新品に交換した。ゲルマダイオード(NEC)も、外見がレトロでいいムードだが新品1N60に交換した。

セラミックコンデンサは経年劣化が少ないように思う。あまり容量値に変化はない。一方電解コンデンサ(↑)はほとんどダメである。古いラジオの修理はコンデンサの交換だけで鳴り出す確率が高いのだ。

リード線は被覆ビニールが剥がれやすくなっている。ハンダ付けで熱を加えるとすぐにビロ~~ンとなる。被覆が剥がれたリード線はショートの原因となるので交換する。

“接着”したバーアンテナは、赤ラジオkらの良品交換によりボツとなった。

最後の調整

修理が終わり、最後の調整中。とてもよく鳴るが、音がカン高いようだ。

タケダ理研のTR-4120トラッキングジェネレータでIFTの特性波形を観る。

「波形を観る」と言ったがこれが正しく機能しているのかわからない。どのラジオをみてもこの波形のままのような気がするのだが...メーカ(現在はアドバンテスト)は、修理はできないが、5万円くらいで校正(調整)はやってくれるようだ。余裕ができたら頼んでみるか..

修理調整が完了し、もとのサヤに収まった。なんだかスッキリしたようだ。

作業完了

この6石スーパーラジオも結構感度が良い。音質はカン高いが、非常にキレイな音質だ。1960年代に人気があったラジオらしい。

音質の調整には、6石スーパー回路の理解が必要だ。奥が深いねえ。

(kazu)


ラジオ小僧必見!無線ラジオ「徹底」研究シリーズ

6石トランジスタラジオの設計・製作・実験 Project


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