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6石トランジスタラジオキットを オシロ で観測してみる

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ラジオキットを オシロ で観測してみる

6石トランジスタラジオキット CHERRY CK-666

なんかね、bossから荷物が届いたですよ。開けてみたら、組み立て済みの6石トランジスタラジオキット(CHERRY CK-666)。小中学生の教材だと思うのだけど、ゆったりした基板で回路も印刷されてるから、サルでも完成させる事ができるだろう。

なんか、おかしいんだよ、これ

6石トランジスタラジオキット CHERRY CK-666

ぱっと見て、綺麗に組み立ててあるなと思ったのは一瞬で。
何か違うんですよ、これ。
バーアンテナが異常にデカイのね。さては、bossの事だから、他機種の長い奴を移植した、、、らしいや。
オリジナルと思われるバーアンテナが一緒に入っていたですよ。それにしても綺麗に実装してあるな、これ。

うわっ、聴いてられないよ

6石トランジスタラジオキット (CHERRY CK-666)

とりあえず電源入れて鳴らしてみた。マンションの一室なので電波状況はあまり芳しくなく、ノイズ源になるエアコンやTVもあるのだけど。
お、結構感度イイじゃん、これ。
と思ったのだけど、小径スピーカーのせいなのか、音がキンキンしててとても長時間聴けたもんじゃないよ、これ。

スピーカー交換で改善するか

6石トランジスタラジオキット (CHERRY CK-666)

こうゆう時は手っ取り早くスピーカーを大口径の奴に交換してしまうのがお手軽な対処策なのだけど。この音の悪さ、スピーカーだけじゃない気がしてならないんだな。何て言うんだろ、キンキンしてるだけじゃなくて、微妙に音が歪んでるって言うか、汚い(坂口杏里のケツじゃないぞ)んですよ。

ちょっと オシロ 波形を見てみますかね

6石トランジスタラジオキット (CHERRY CK-666)

聴いた感じ、スピーカーだけじゃなくてアンプ部も怪しい感じがするのでオシロ(Keysight DSOX1102G)で観察すれば、何か悪いところが見えてくるかもしれません。
スピーカーを接続したままですと、ウルサイので、スピーカーは切り離して8Ω(厳密には手持ちの都合で8.2Ω)の抵抗を接続します。

ちょっと脇道に(あると便利よん)

6石トランジスタラジオキット (CHERRY CK-666)

別にメーカーから賄賂貰ってるとか、脅された訳じゃないのですが。
画像に写ってるコードレス半田鏝、僅か6Wの電力ですが、侮るなかれ。スイッチを押して15秒で半田可能な温度まで上昇するし、トランジスタ回路の半田程度なら難なくこなしてくれます。一箇所だけ半田したいんだよ、
ちょっとだけ使いたいんだよ、、、って時に便利です。

信号を入れる場所は

6石トランジスタラジオキット (CHERRY CK-666)

Function Generatorから信号を入れて観測するので、信号を入れる場所を探さないといけませんが、コイツは回路が基板に印刷されているので楽勝でポイントを探す事が出来ました。音量ボリュームのホット側にリード線を半田して、そこから信号を入れます。

信号を観察する場所は

6石トランジスタラジオキット (CHERRY CK-666)

先程スピーカーに行く線を外して、代わりに抵抗を付けたのですが、そこで信号を観測します。

全体像はこんな感じ

6石トランジスタラジオキット (CHERRY CK-666)

赤いクリップがFunction Generatorからの信号で、同時にオシロのCh1にも接続します。
オシロのch2は8Ωの抵抗に接続します。

動作確認をしてみる

KEYSIGHT DSOX1102G Digital Storage Oscilloscope

接続が終わったら、Function Generatorからは何も出さずに、スイッチを入れて、ボリュームを回してみます。
オシロに何か雑音っぽいものが表示されれば、概ね接続は間違っていないと思います。

ひっ、酷でぇなこれ

KEYSIGHT DSOX1102G Digital Storage Oscilloscope

Function Generatorを1khzに設定して、出力は最小から徐々に上げて行くと、ch1、ch2共に波形が表示されてると思います。
Ch1が入力の信号で、ch2が出力の信号、もしスピーカーが繋がっていたらスピーカーからピーって音が出る筈です、、、が。
汚いなぁ、こんなに歪んでるんじゃラジオの音だって汚く聞こえる訳だよ。

各部の波形を見てみる(driver段)

KEYSIGHT DSOX1102G Digital Storage Oscilloscope

これはドライバー段のコレクタ波形、それほど汚くないですね。
よってドライバー段はまぁ正常に動いてると判断して良いのではないかと。

各部の波形を見てみる(出力段上側)

KEYSIGHT DSOX1102G Digital Storage Oscilloscope

これはプッシュプルの出力段、上側トランジスタのコレクタ波形、なんか歪んでるって言うか汚いですね、坂口杏里並です。
音量を上げすぎて歪んでいるのかと思って、信号レベルを下げてみたのですが、この傾向は変わらずでした。

各部の波形を見てみる(出力段下側)

これはプッシュプルの出力段、下側トランジスタのコレクタ波形、上側と逆相で動いてる筈なんですが、やっぱり汚いんですよ。しかもときたま波形がチビってる(尿漏れパンツじゃ治らないんだぞ、これは)し。
どうやら、音が汚い原因は出力段にありそうです。

各部の波形を見てみる(出力段エミッタ抵抗)

KEYSIGHT DSOX1102G Digital Storage Oscilloscope

トランス式プッシュプルの出力段はエミッタが互いに結ばれていて、抵抗が入っている(回路安定化のため)ので、そこの波形を見ると、プッシュプル回路が均等に働いているかわかる。この波形みると、アンバランスがありそうですね。波形の高さが一個飛びで大きくなってるでしょ。これって、どっちかのトランジスタに大きな電流が流れてるって事なのね。原因は色々あってトランジスタのアンマッチや、トランスの巻き数が狂ってるとか。

汚いのは判ったので周波数特性を

KEYSIGHT DSOX1102G Digital Storage Oscilloscope

出力段にアンマッチがあるらしく、波形が坂口杏里並みに汚いのはわかった。
あの聴くに堪えないキンキンした音はどこから来るのか、DSOX-1102Gの周波数解析機能を使って確認してみた。
ボリュームは中間付近にしてあるので、最大ゲインはもっとある筈なのだけど。
この周波数特性、まるっきり電話ですね。

10Hz~10KHzで再確認

KEYSIGHT DSOX1102G Digital Storage Oscilloscope

10Hz~100KHzの特性で納得したのですが。実際に人間の耳がどこまで聴く事が出来るかってぇと。Function Generatorにスピーカー接続して周波数を上げていけばわかります、一般には20KHzまでとか言われますが、実際にやってみると10KHzで殆ど判別つかなくなります。やたら広帯域なアンプを求めるオーディオマニア様達はすっごい耳をしてるんでしょうね。

どうする、よ、これ

10Hz~10KHzの特性もやっぱり電話で(いや、電話より高域が伸びてるか)とても日常使いには向いてない事がわかったのだが。回路定数を変えて改善を目論むのか、お手軽なICアンプ化するのが賢いのか。
幾ら弄くっても、使ってるトランスの素性が良くないとどうにもならない。
山水のSTシリーズに入れ替えるって案もあるけど、単価が高い。
と、ここまでやってオジサンは疲れて寝てしまいました。

ICアンプにすれば結構イケルかなって思います。どうせ大型の基板なので、電源は12V化して5W程度のアンプを組み込んでやろうかと、、、思っています。

(2017.09.01 ken)

2013年4月に作った6石トランジスタラジオキットです

kenがオシロで観測したキットは、2013年4月に作った、チェリー CHERRY CK-666です。入っていたトランジスタは、2SC1815(OかYランク)が3本と、2SC1815-GR(本当のところは不明)が3本(プッシュプル電力増幅)だった思います。悪ふざけで、高周波段を2SC2669-OというAMラジオ用途に換装しました。できるだけオリジナルhFEに合わせましたが、電流帰還型なのでバイアス抵抗は変更していません。少しでも感度が良くなればというアマチュア精神で...で、結果は?kenの記事通りです(苦笑)。
回路図は以下の通りです。実測電流・電圧を入れています。

6石スーパーラジオ回路図(CHERRY CK-666)2013年4月製作

6石トランジスタラジオキット Cherry CK-666_2013_04

6石トランジスタラジオキット製作のフル動画

その製作の様子をフル動画でYouTubeにアップしています。2時間31分の長時間動画ですので、飛ばしながらご覧下さい。近いうちに見やすく編集します。

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