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裏方の働き者~「コンピュータ・ケーブル」の話(波形付き)

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・今回はケーブルの話を…。
サーバやパソコンとHDDの間でデータをやり取りするには、従来から用いられてるパラレル方式と高速伝送を実現する為に開発されたシリアル方式があります。
シリアル方式は二種類あって、電気的信号で伝送するSAS( Serial Attached SCSI )/SATA(Serial-ATA )方式と、信号を光に変換して 光ファイバを使って伝送するファイバチャネル( Fiber Channel )があります。
・今年に入ってからSerial ATAも徐々に普及して来ましたが、高性能を狙ったハイエンド製品が多く、一般的にはパラレルATAがまだ多いと思われます。
・そこでパラレルATAのケーブルの話を( 地味ですがなにげに働き者です、ケーブルって )…。

パラレルATAケーブル

・パラレルATAケーブルには二種類あります。
上が40芯ケーブル、中段と下段が80芯ケーブル。
・何が違うか…外見もそうですが、使用出来る転送速度の上限値が違います。
40芯ケーブルはUltraDMA-33迄であり、それ以上の高速転送をすには80芯ケーブルを使用します。
・もしも誤って40芯ケーブルを使ってUltraDMA-100の転送をするとどうなるか?
データ化けが起きてしまい正常に読み書きが出来ないでしょう。
但し、一部のパソコンにはBIOSがケーブルのタイプを検出して、転送速度を制限するものがありますので、一見正常に動作してる様に見える事があります。

パラレルATAケーブル

CableSelect 用のカット、決して不良ではないです(矢印箇所)

ケーブルセレクト機能について。

最近のIDEインターフェースにはケーブルセレクト機能が付いていて、接続したコネクタの
場所によって自動的にマスター/スレーブが割り当てられます。
しかし、この機能を利用するにはケーブルの36番信号をPCの手前で切断しなければなりません。
簡単に言うと起動時にHDD同士が通信してどちらがマスターになるかを決定する仕組みです。
・下段のケーブルは青いコネクタ近くで線が切れていますが、中段のケーブルは切れていません。
HDD側のジャンパーをマスター/スレーブとしてきちんと設定すればどちらのケーブルでもきちんと
動作しますが、HDD側のジャンパーがCableSelectにセットされていて、中段のケーブルを使った
場合、二台接続しているのに一台しか認識しない、またはどっちも認識しないなんて事が起きます。

ケーブルの流れる信号の波形~一般公開!

↓・40芯ケーブルで1ビットだけ駆動した場合の波形。
何だまだまだ行けそうな気がしますね。
・転送モードはUltraDMA-33です。

UltraDMA

↓・上と同じ条件でUltraDMA-100の転送をした場合
・お、なかなか頑張るじゃん?って感じです。

UltraDMA

↓・ならば半分の8ビットを駆動すると…。
何だか波形が暴れて来てヤバそうな気配です。
・赤のライン、DD-12は”0″に固定してるんですがクロストークの影響をうけてうねりが出ています。

UltraDMA

↓・左と同じ条件でUltraDMA-100の転送をした場合
・もうこうなるとデータ転送どころではないですね。
・CRCエラー続出でWindowsが驚いて青くなります(俗に言うBlue Screen)。

UltraDMA

↓・80芯ケーブルで1ビットだけ駆動した場合の波形。
・転送モードはUltraDMA-33です。
40芯ケーブルと較べて波形の肩の崩れ方が少ないです。

UltraDMA

↓・80芯ケーブルで1ビットのみ駆動、UltraDMA-100の波形。
・DD-12のノイズが抑えられていますね。

UltraDMA

↓・80芯ケーブル8ビット駆動、UltraDMA-33の波形。
・40芯ケーブルと較べてその差歴然です、安心して見ていられます。

UltraDMA

↓・80芯ケーブルで8ビット駆動、UltraDMA-100の波形。
・DD-12のノイズが増えてきていますがまだ許容範囲です。

UltraDMA

ケーブルに対する”正しい”知識

・ケーブルによってこれだけ伝送波形が違って来ますので、ケーブルの選択は重要です。
・以前何かの雑誌( Dxx/V Mxxxxzin )でケーブルのブランドで性能に影響するのか?と言うお題目
でベンチマークを実施した記事を見かけました。
結果の正確な記憶はないのですが、”xxxのケーブルの方が性能が良い”って結びで記事が終わっていたような気がします(←何寝言書いてるんだか…byワタシ)。
・リトライが発生するほど性能の悪いケーブルであればベンチマークが完走する前に何かしらのエラーでストップするか、イベントビューアに赤い警告が出まくる筈。
転送モードが違えば大きな性能差になる筈だがそんな結果ではなかった。と言うことははちゃんと信号が伝達されていた事になるので、エラーは起きていないと言う事になります。
ケーブルによる性能差ではなく、測定誤差がケーブルの差として見えたんであろうと思われます。
・何を言いたいか…”ちゃんとしたケーブルであればメーカーによる性能差は起きえない”です。
勿論接触不良などの組み付けミスが無いことが前提ですが。

(ken)

それにしてもプロの使う測定機(↑のオシロ)ってスゴイの使ってますねえ..うちのオンボロオシロと大違いだ(^^;; (kazu)

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