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電子工作入門~電子部品について

はじめに

「ブレッドボードを使ってみよう」「ブレッドボードを使ってみよう(補足編)」では、抵抗やコンデンサ、トランジスタなどの電子部品数点を組み合わせた回路例を示しながら、ブレッドボードを土台とした電子工作を行いました。

その中で「電子部品」そのものについてはあまり深く触れてはおりません。それはブレッドボード自体の使い方を中心とした説明としたためですが、やはり電子工作を趣味として続けるには、電子部品についての知識も必ず必要となってきます。

そこで今回は「電子工作入門 基礎編」の初回講座締め括りとして、電子部品について簡単ではありますが、少し書いてみたいと思います。

電子回路とは

電子工作を行うに当たって、最初に必要な事とは一体何でしょう?。それは「回路(図)が完成されている」という事でしょう。「ブレッドボードを使ってみよう」のページでも、ブレッドボードを使って組み上げる段階で「回路(図)」が存在しました。

LEDを点灯させる回路です

そしてその回路について「電気の通り道」を辿りながらブレッドボードに部品そしてジャンパー線を配置していきました。

回路には必ず電源があり、そしてその一方からその他方へつながる「通り道」が必ず存在しています。複数に分かれたり合流したりしてはいても、行き止まりになる部分はありません。

本来であれば、その「回路(図)」を作り上げる事、すなわち設計する事から始めなければなりません。しかし、当講座では「入門編」「初心者向け」という位置付けですし、詳細な点については講座の中で行っておりますので、ここでは割愛します。

それでは、まず各部品に触れる前に電子回路の基本的な知識から始めましょう。

電圧と電流、直流と交流

電気を扱うにあたって必ず出てくるのが「電圧」と「電流」です。詳しく書き出せばそれこそ深く物理の世界に立ち入ってしまいますが、ここでは簡単に説明します。

まず電圧とは「電気を流す強さ」の事で、単位は「V」(ボルト)です。「ブレッドボードを使ってみよう」の場面では乾電池2個を使って電源を用意しました。ご存じの通り、乾電池は "1.5V" という電圧を持っていますが、それを2個使用しましたので電圧は "3.0V" です。電圧は回路につないでなくとも発生しています。

1.5Vの乾電池

次に電流ですが、「電気の流れる量」の事を言います。単位は「A」(アンペア)です。一般的には電源の+極から-極に向かって流れるとされています。電流は電圧とは異なり、実際に回路をつないだときに初めて発生し、流れることになります。そしてその回路に使われている電子部品に応じてその量が変化します。

接続すると電流が流れる

さて、一般家庭で使用されるコンセントでの電圧は "100V" であることはよく知られています。もっとも乾電池の電圧と家庭用コンセントの電圧とでは、少しばかり意味が異なっています。それは乾電池は「直流」であり、家庭用コンセントでは「交流」であるという事です。

直流とは「電流の向きが一定」である電気で、交流とは「電流の向きが交互に変化する」電気です。当講座においてブレッドボード上で使用する電気はすべて直流ですので、必ず一方が+極、その他方が-極です。

「ブレッドボードを使ってみよう」では3.0Vでしたが、今後は徐々に5.0Vから12.0Vまで上がっていく予定です。

前回使用した電子部品について

それでは、本題である電子部品について説明を進めていきましょう。「ブレッドボードを使ってみよう」のなかで使用した電子部品を改めて紹介します。

左から順に「スイッチ」、「抵抗」、「トランジスタ」、「電解コンデンサ」、「LED(発光ダイオード)」です。

各部品の仕様や型番は以下の通りです。

番号 部品名 値・型名・仕様 個数 備考
1 抵抗 100Ω 1/4W 2 色帯は"茶黒茶金"です
10kΩ 1/4W 2 こちらは"茶黒橙金"
2 電解コンデンサ 100μF 耐圧16V 2 耐圧25Vでも可
3 トランジスタ 2SC1815 2 Hfe=100程度
4 発光ダイオード OSHR5161P 2 赤色 順方向電圧Vf=2.1V程度
5 スイッチ SOR-124HS 2 押している間だけONになるもの

これらを組み合わせた回路は、「ブレッドボードを使ってみよう」を見ていただければお判りですね。電子工作趣味で使用する一般的な部品を使用しており、入手性が良い物を選んであります。

続いて個々の部品についての説明を行っていきます。

抵抗

「抵抗」とは、その名の通り「電気の流れを妨げる」ものです。電子部品のなかではとても重要な部品で、もっとも多く使用される部品であるといっても過言ではないでしょう。

それでは外観を見てみましょう。

炭素皮膜抵抗

上記画像のものはもっとも一般的に使用される「炭素皮膜抵抗」と呼ばれる種類のものです。数本の色帯が付けられた米粒よりも少し大きい本体と、両端のリード線から構成されています。他にも「金属被膜抵抗」や「セメント抵抗」などがあり、回路や機器、精密度やその用途に応じて使い分けされます。

抵抗が使われる目的は、他の電子部品に流れる電気(電圧や電流)を制御する事にあります。「ブレッドボードを使ってみよう」の中では、LEDへ流す電流量を制限するために使っています。

抵抗値を表す単位は「Ω(オーム)」が使用されます。

抵抗の回路記号

上記図は回路図上で抵抗を表す回路記号です。回路上での抵抗番号"R1"(抵抗器の1番目)および抵抗値"10k(Ω)"を書き添えています。

抵抗値の表示は、本体上に付けられた数本の色帯(カラーコード)によって示されます。一般的には金や銀の帯がある方向と反対側から読みますが、この色帯一本一本の色と並びには意味があります。例えば「茶・黒・赤・金」4本の色帯があった場合、「茶=1・黒=0・赤=×100・金=誤差±5%」という意味となります。これを抵抗値に直すと「1kΩ±5%」という値になります。

デモ版を用意していますので、一度お使いになってみてはいかがでしょうか。

「ブレッドボードを使ってみよう」のなかでは「100Ω」「10kΩ」の2種類の抵抗を使用しました。この抵抗の色帯がどうなっているかを見てみてください。

コンデンサ

「コンデンサ」の働きとしてもっとも重要なものは「電気を蓄える」機能です。前述の抵抗と合わせて非常によく使われる部品です。他にも「交流のみを通過させる」という機能をも持っており、電子工作趣味の世界では、先の抵抗や次項のトランジスタと合わせて多く使用される部品です。

ここで紹介するものは「アルミ電解コンデンサ」と呼ばれる種類のものですが、他には「マイラコンデンサ」、「タンタルコンデンサ」や「フィルムコンデンサ」などがあり、その用途・目的に応じ非常に多種多様に存在します。

こちらも外観を見てみましょう。

電解コンデンサ

電解コンデンサには「極性」があります。つまり電源の"+"側に接続する端子と"-"側に接続する端子が決まっている事から「有極性」となります。そして上記外観を見てお判りの通り、円筒形の本体から伸びる足(リード線)には長短2種類が取り付けられています。この長い方を「アノード」と言い、"+"側に接続します。他方、短い方は「カソード」と言い、"-"側に接続します。

また接続する極性を持たない「無極性」のコンデンサもあります。

極性付きコンデンサの回路記号

上記図は回路図上でコンデンサ(極性付き)を表す回路記号です。容量値を表す単位は「F(ファラッド)」であり、上記回路では容量値"10μ(F)"となっています。この電解コンデンサの場合、その容量値は円筒形本体の側面に直接書かれています。

「ブレッドボードを使ってみよう」では、「電気を蓄える」機能を利用しています。電気を蓄える事、すなわち「充電」と逆にその充電した電気を吐き出す事、つまり「放電」機能を次項のトランジスタの「スイッチ」機能を組み合わせています。

トランジスタ

電子回路の代名詞とも言える「トランジスタ」です。半導体と呼ばれる電子部品の一つであり、この電子部品の登場で小型・高機能な電子機器が多種多様に渡って現れました。 ココでは紹介しませんが、IC(集積回路)も中にトランジスタを高い密度で持っています。

主に電流を大きくする「増幅」、電流を通過・遮断する「スイッチ」という大きな2つの機能があります。

それでは画像を見てください。一面が平らとなった円筒形の容器と、3本の足(リード線)が大きな特徴です。

トランジスタ(NPN型)

今回の「ブレッドボードを使ってみよう」では「2SC1815」という、非常にポピュラーな型番の物を使用しています。本体のなかで平らになっている一面に書かれたこの型番にも意味があるのですが、それについてはまた別の機会に説明しましょう。

それでは回路図における記号を示します。このタイプのトランジスタは「NPN型」(これに対し、PNP型のトランジスタもあります)と呼ばれるものです。3箇所の接続端子のうちの一つが矢印となっており、かつその矢印が外側に向いている事がその特徴です。

トランジスタ(NPN型)の回路記号

トランジスタについて書き始めると、本となってしまうほどの量となってしまうのでココでは「スイッチ」機能について簡単に説明します。

3本の足(接続端子)はそれぞれ名前を持っています。上側の端子は「コレクタ」、矢印が向いている先から下へ伸びる端子は「エミッタ」、そして左から縦棒の中心へつながる端子を「ベース」と呼びます。

トランジスタの端子名称

この3つの端子のうち、ベースからエミッタ間の電流を止めると、コレクタからエミッタ間の抵抗が大きくなり、従ってコレクタ~エミッタ間の電流が遮断されるようになります。これが「スイッチ」と呼ばれるゆえんです。「ブレッドボードを使ってみよう」で紹介した回路のうち、Part2を見ることでお判りいただけるかと思います。

LED

正確には「Light Emitted Diode」と呼ばれる「発光ダイオード」です。その名の通り「ダイオード」の一種であり、こちらも半導体の一種です。その機能は「一方向のみ電流を通過させる」もので、現在のダイオードは「シリコン」と呼ばれる物質で作られています。

そのダイオードの一種類としてLEDがあります。使用される材料(物質)によって発光する色が異なり、その用途・目的に合わせて使用されており、最近では製造が困難とされていた「青色」LEDも現れて非常に身近な存在となっています。

次の画像にて、上側がLED(発光ダイオード)、下側に一般のダイオードを挙げています。

発光ダイオード(Light Emitted Diode)

以下に挙げる回路記号では、一般のダイオードを示す回路記号で電流が流れる方向を示す事に加え、光を発すことを表す矢印を付加することでLEDを示します。図では左から右へ電流が流れると発光します。

発光ダイオードの回路記号

電子工作趣味での使用場面では、必要な電圧が掛かっているかを確認する、あるいは流れている時間とそうでない時間を目で見えるようにするために用いることが多いですね。

上述の通りLEDは電流が流れる方向を制限するために、極性を持っています。コンデンサと同様に、本体に取り付けられた足(リード線)は2本の長さが異なるものが付いてます。こちらも長い方を「アノード」("+"側)、他方の短い方を「カソード」("-"側)と呼びます。「ブレッドボードを使ってみよう」の中でも説明しましたね。

一般の電球等とは異なり、LEDでは電気の消費量がぐっと少ない事から現在では様々なところ、例えば交通信号機や家電製品の操作パネルなどに使われています。今後当講座においても利用方法や応用例を含め、どんどん紹介していく予定です。

スイッチ

これまでに挙げた部品とは少し性質が異なりますが、ブレッドボードでの回路作成には欠かせない部品として「スイッチ」を挙げておきます。 もちろん、様々な電子機器にも電源をOn/Offするスイッチが使用されています。今回の「ブレッドボードを使ってみよう」でも、電池を繋ぎっぱなしになる事を防ぐために使用しています。

タクトスイッチ(モーメンタリ型)

このスイッチには、上側に押しボタン、下側に2つの端子があるタイプです。また、押しボタンは押している間のみ通電(On)するタイプ、つまり「モーメンタリ型」と呼ばれるものです。押すのを止めるとバネの作用で元に戻り、回路が切れます。

それでは、押している間だけ通電する「モーメンタリ型」を示す回路記号を紹介します。

モーメンタリ型スイッチの回路記号

このタイプのもの以外には、切り換えスイッチ(トグルスイッチ)のような押した方向に維持される「オルタネイト型」と呼ばれるものがあります。また、基板に取り付ける側の端子数が4箇所や6箇所といった「多極型」といったものがあり、切り換えを同期させたい回路数に応じて選択することが可能となっています。

基本法則:オームの法則

最後に、電子部品に関する非常に重要な「法則」に触れて今回の締め括りとしましょう。

それは「オームの法則」です。一言で書くと

「導体を流れる電流の大きさは、その両端に掛かる電圧に比例し、
その導体の電気抵抗に比例する」となります。電子の世界では、電圧・電流・抵抗の3つの関係を表す式としてよく知られています。それが次の式です。

E=I×R

※ただし、電圧をE[V]、電流をI[A]、抵抗をR[Ω]する

電圧(E)が決まっているとき、抵抗(R)が大きくすると電流(I)が小さくなり、逆に抵抗(R)を小さくすると電流(I)が大きくなる事を示しています。また、式を変形して次のようにも書けます。

I=E÷R

こちらでは、掛かる電圧(E)を抵抗(R)で割る事で、その箇所に流れる電流(I)を求めることが出来ます。

今回の講座「ブレッドボードを使ってみよう」では、この式を使ってLEDへ流す電流量を制限するための抵抗(R1およびR4)を計算しています。流したい電流に上限をつけたいとき、電圧は回路により決まっていることから、抵抗を選択することで適切な電流を計算するときに用います。

この法則は、どんな形の電子回路であっても必ず使うことになりますので、まず式を覚え、そして自身で計算してみましょう。

まとめ

いかがでしょうか?。今回は電子部品についての解説を簡単ではありますが行ってみました。 もちろん、ここまで紹介したもの以外にも沢山存在します。その上、その組み合わせとなるとそれはもう膨大なものとなります。

しかし当講座は入門編ですので、一足飛びに詰め込んでしまう事は避け、必要な場面で徐々に積み上げていきたいと考えています。でないと理解できないことばかり増えていきますからね。電子回路工作を「趣味」として付き合って行くためにも、基本的な知識を着実に積み上げていきたいものです。遠回りのように思えて実は一番確実なのですから。
(uecchi)