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探し物~知的電子実験

東芝 かなりやQ 真空管ラジオレストア日誌その2(作業完了編)

 ヤフオクで落札した500KΩボリュームが早々に到着した。秋葉原ラジオデパートにある部品屋さんだった。アキバに行く度に立ち寄るおなじみの店だった。安心して注文できる。
 部品が揃ったのでかなりやQのレストア作業の再開する。

ボリューム到着(作業再開)

 入手した部品はオリジナルよりシャフトが若干長い。切断して調整しても良いが今回のかなりやQは自分用にするのでこのままで取り付けることにする。

シャーシに取り付けたようす

 ツマミをつけてみる。やっぱりちょっと長い。まあいいか。

周波数ダイヤルの指示針が割れていた。前オーナはビニールテープを巻いて補修していたが、カッコ悪いので、瞬間接着剤で固定した。

修復したダイヤル指示針

 次に電源スイッチを配線する。アース側の電源をON/OFFする。 灰色のビニール線がAC100Vの片側。黒い線はアースへ落とす。

 シャーシに落としたアース側の配線。

配線作業完了

 交換した部品。ボリュームとコンデンサ。コンデンサは劣化しやすいので新品に交換しておいた方が無難である。ケミコンは元気だったのでそのまま続投させた。抵抗は交換していない。イヤホン端子は使用することは無いので撤去した。耳の穴に高電圧?をかけるなんて昔は野蛮だったんですねえ(^^;;;
このうち局発に使っていた460PFと2750PFのスチコンは容量もぴったりだし貴重な部品なので保管しておくことにする。

調整の治具

 実はラジオいじりの最も面白いところはこの調整かもしれない。くたびれたラジオが元気によみがえる様は本当にうれしい。反面今までの作業を台無ししてしまうトホホな結果になる可能性も多いのだ。慎重にいかねば...
 上にある3本の棒は、IFTのコアやトリマを調整するための専用調整治具。
 大抵マイナス型や多角型だ。これを普通のドライバで回すとほぼ確実にフェライトコアを割ってしまう。それに、ドライバの金属部が誘電体になり調整ポイントが狂ってしまう。人間の手も近づけてはいけない。だから、ラジオなどの高周波機器の調整をするには必須のアイテムである。

SSG

 

 試験信号の発振器。シンセサイズド・シグナル・ジェネレータの略でSSG。
 数年前にヤフオクで入手した。出品者は見栄えが悪いですとしきりに恐縮していたが、なかなか良いものでずっと愛用している。あえて難点を言えば冷却ファンの音がやたらうるさいことである。信号強度の単位切り替えが不能だが自分のようなシロートにとって大したことではない。
 100KHzから1GHz近くまでAMとFM信号を発生できる。たいていの無線機器の調整に間に合う。

IFTの調整

 まず455KHzのIFT(中間周波トランス)を調整する。2個の四角形のトランスである。スーパーヘテロダイン式ラジオはここで受信感度の善し悪しが決まる。
 かなりやQの電源を入れてバリコンをすべて入れた状態(一番低い周波数)にする。アンテナ端子に200PFくらいのコンデンサをはさんで、SSGか455KHzを入れる。スピーカ端子にオシロをつなぐ。SSG出力は抑え気味でボリュームは大きめ。
上は455KHz/1KHz変調のAF出力波形(以下同様)

 スピーカ端子にオシロスコープのプローブを接続する。
 オシロスコープの他、交流電圧計(ミニバルとかバルボルという)をつないで測定する場合も多い。

 コア調整棒を慎重に回してオシロの出力波形が最大になるようにする。必ず近くにピークがあるはずだ。1回転以上回してもピークが無い場合は何か不具合がある。

 2個のIFTを何回か交互に調整する。上は調整後の波形。
 2倍近く伸びた。古いラジオなので結構ズレていた。この時点でバリコンを回すとかなりやQが「元気になった」のが実感できる。アンテナ無しでも放送局が受信できる。一番うれしい瞬間だ。

感度調整とトラッキング調整

 受信可能最低周波数を受信する。SSGから535KHzを入れる。1KHz信号を50%でAM変調50%、SSG出力も波形が判別できる程度で適当。
 低い周波数は局発コイルを調整するのだがかなりやQのコイルはコアなどの調整箇所が無いので見るだけにする。
 ※巻き線を動かせば良いのだが失敗したら泣くになけないので何もしないことにする。

 つぎに受信可能最大周波数を受信する。SSGから1600KHzを入れる。
 高い周波数はバリコンのトリマか、かなりやQはシャーシにあるトリマーセットで調整する。

上は、受信周波数1600KHzの1KHz変調(50%)の出力波形

受信周波数1000KHzの1KHz変調(50%)の出力波形
波形が汚く出力が小さい..
(後になってSSGの接続端子が抜けていたことが判明。測定失敗)

 次に短波帯も感度調整を行う。
 残りの2つのトリマーは受信周波数範囲の調整用トリマーである。トラッキング調整といって、全受信範囲に渡って受信周波数+455KHzの関係が均等になるようにする調整である。ラジオの調整の最大のキモだが結構難しい。ヘタにやると本来の性能が出なくなる。今回のかなりやQは受信範囲が公称と合っていたのでトラッキング調整はやめることにする。こればっかりはヘタな鉄砲式ではいかないのだ。

 調整の最後に低周波出力管(30A5)のG1(第一グリッド)の電圧を測定する。ここで少しでも+電圧が出ていればカップリングコンデンサの不良か真空管の不良を疑う必要がある。

 んっ...ちょっと出てるやないの。
 ビミョ~やなあ..
 カップリングコンデンサはすでに新品交換してるし、30A5がくたびれてるのかなあ?黒コゲになっている整流管(35W4)の方がよっぽどあやしいんやけど..
まあいいか。

レストア作業の終演..エージング

 アンテナ線をつないで実際に受信してみる。
 NHK大阪第一放送(666KHz)の出力波形。男性と女性の会話の波形
 とても
音が良い\(^O^)/
 真空管ラジオの音は、最新の高性能受信機が束になってかかってきてもかないっこない。と私は思う。
 なぜか真空管ラジオにはNHKが合う。それもラジオ深夜便が。みんなそう言うがやっぱり合うのだ。どうでもいいけど...そしてタバコがうまい!!(笑)

NHK放送の波形(つづき)
 オンボロなオシロなのでリアルな音声に追尾しきれないが、人間の音声って不思議なもんだ。いろいろな周波数成分が混ざって複雑で、きれいな音声として聞こえる。

レストア作業完了

 組み立てが完了したかなりやQ
 パイロットランプと真空管の灯が哀愁を誘い何ともいえないもんだね。
 無線の先輩が「真空管を眺めてると電子が飛びかうのが見える..」と言っていたのを思い出した。ホンマかいな~。コワッ。

ケース横に取り付けた電源スイッチ
ちょっと長いボリュームツマミが、今回のオチです。

かなりやQ その後..

 レストアを完了したかなりやQは元気に鳴っている。寝床ラジオとして活躍している。
 エージング中気になった「バチッ」というノイズも皆無になった。ケミコン再生成中のものか、作業場所(会社事務所)の別のノイズ発生源のものか不明。耳障りなハム音もほとんど無い。
 ラジオや受信機はとにかく受信感度云々を問われるが、この時代の真空管ラジオはアンテナが重要である。10m以上のアンテナ線をできるだけ高く張るようにと言われている。
 また、短波帯に関しては「おまけ」と考えた方が賢明だ。5球スーパーに使用されている真空管の高周波特定が良くない。特に短波帯の高い方には弱い。仕方ないことだ。もうひとつ、短波帯は、バリコンでの選局がクリティカル(狭く、こまかく)になる。容量の大きい中波用バリコンを兼用しているのでこれも仕方がない。当時の通信型受信機はサブダイヤル(スプレッドダイヤル。容量の小さいバリコンを並列につないだ)を併用して選局しやすい工夫をしている。周波数安定度も気になるところである。
 「5球スーパーラジオ」はその昔中学の技術家庭などの授業で作っていたらしい。私はそれより後の世代で「ゲルマトランジスタラジオ」の世代だ。小学生の時、近所のおいちゃんが部品ムキ出しのラジオを、誇らしげに大音量で鳴らしているのを見て感激した。そのときの夢が今実現した。(kazu) 2005.01.23


↓元気に鳴る"かなりやQ"