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オタクは得してる?思い入れのラジカセ SONY CF-1450 レストア日誌~2日目

歴代のSONY製品に潜む、諸悪の根源トランジスタ”2SC710”

何やら、えらくたいそうな見出しにしてしまったが、2SC710というトランジスタは、1970年代頃からのSONY製品のラジオ、ラジカセ、チューナーに多用されていて、足の黒錆(水虫と言う人がいる)を発症して劣化や不良をきたし、不具合を多発させているらしい。

と言っても、発売当時は新品だから誰も気が付かなかっただろう。何十年もの長い時間を経た現在になって不具合が表面化し、SONYブランド製品としてあるまじき事態だということで騒ぎになっている。まあ、当時のSONYの技術者は、30年以上も経ってから、アマチュアに、機器をバラされた挙げ句、世間に晒されるハメになるとは、予想だにしていなかったと思う。

目の前にあるCF-1450も、2SC710を採用していた。ラジオ基板のほとんどすべてがこのトランジスタのようだ。

2SC710の規格
メーカ:三菱
用途:RF, Conv, Mix, Osc
構造:Si, EP
VCBO:30V
VEBO:4V
Ic:30mA
Pc:200mA
hFE:90
FT:200MHz

2SC710の規格は上記の通り。データシートから引用した。私は、NECが作ったトランジスタとずっと思ってたが、データシートはどこも三菱製とある。そうなのか。MW/SW/FMラジオの高周波回路用トランジスタである。当時はよほど重宝したのか、SONYは、高周波増幅、周波数変換、局部発振、中間周波増幅、BFOとほとんどオールマイティー的に多用していた。

現在は当然廃品種(ディスコン)なので、代替品を選ぶことになるが、互換品を調べると以下の通り。

2SC710の互換品型番
2SC380, 2SC1675, 2SC461, 2SC829

互換品自体が入手困難だったりして(笑)。2SC380や2SC461なんて今時入手できてもヤバイんじゃないの?

2SC829と2SC828は、80年代前後の無線機回路によく使われていたと思う。radio1banにも結構数保管している。また、2SC710自体、最近まで市販されていた。1本100円と結構な値段だった。

radio1banが、ICF-5500, ICF-5800, ICF-5900 のトランジスタ修理に多用するのが、2SC2787(NEC)だ。比較的最近のラジオ用トランジスタで、BCEの極性が2SC710と正反対で、パッケージ(胴体)を逆に取り付ける。かなりの台数で全数交換を行ったが結果は全て良好だ。2SC2787も入手が困難になってきている。2SC2786(NEC)も使えると思う。

入手可能なラジオ用トランジスタで、2SC2669(TOSHIBA), 2SC2670(TOSHIBA)がある。なかなか良いトランジスタだと思うが、こいつで代替すると、「発振ギミになる」という情報がある。2SC710と2SC2787のhFE(電流増幅率)が90程度なのに対し、2SC2669と2SC2670のhFEが40ー240もあり、 hFEの高いランクを使用すると動作が不安定になるのかも知れない。

不具合のあるSONYラジオから、2SC710を外してhFEを測定すると、50くらいに”弱って”いる場合が多い。

トランジスタの互換品型番に関するお問い合わせをいただくことがとても多い。規格表を観て、用途が合っていて、規格が大体似ていればOKと考えて良いと思う。後は極性とサイズに注意すれば良いと思う。真空管ほど厳密では無い。

とは言っても、汎用トランジスタ2SC1815を、互換品として使用するのはいかがなものか?と思う。1本5円以下だから経費的には魅力だが、AGCがかからないとか、元々ラジオ用じゃない。本職の修理業者(メーカじゃなくて)が直したラジオ(ICF-5900)に、2SC1815で代替されているのを見つけた。そのオーナーは、業者から購入後直ぐに調子が悪くなったとぼやいていた。まあ、2SC1815が問題というより、修理業者の姿勢の問題の方が大きいのかも知れないが。

SONY ラジカセ CF-1450に鎮座する2SC710

悪名高き(SONYで使用される)2SC710のおかげで、話が脱線してしまった。
それでは分解したCF-1450のラジオ基板を確認する事にする。


流石に↑↑は無いでしょう~SONYさん(苦笑)
FM高周波コイルの振動防止の為の”ロウ固め”でしょう。なんでトランジスタの頭にロウを盛る訳??
作業が雑過ぎです。


セラコンや抵抗の足回りにもロウを流し込んでいるが意味不明...

ラジオ基板上には7石のトランジスタが実装されているが、おそらく全部2SC710と思われる。という訳で、このCF-1450もご多分に漏れず、2SC710を全数互換品に交換することにする。それに、数本の電解コンデンサも怪しいので全数新品交換する

修理作業の前準備~ラジオ基板の取り外し

部品交換に入る前に、作業を邪魔するものは外さなければならない。その中で一番の問題は、糸かけダイアルだ。細めのタコ糸のようなダイアル糸は、チューニング(同調)ツマミの回転を、バリコンを回転させると同時に周波数目盛りの指示針も動かす、デリケートで精密なつくりだ。このダイアル糸は、切れていたら張り直すしか無いが、正常に動くのであれば、そのまま使いたい。それほど糸かけは嫌な作業なのだ(私にとって)。


ラジオ回路基板と、アンプ回路基板の2枚で構成されている。基板間は、信号や電源を伝達するためのケーブルや、リード線が多数。


ダイアル糸の糸かけ状態をそのまま維持させつつバリコンシャフトから外す”必殺技”がコレ。
黒いリングの要所を、「ワイヤー入りビニールひも」で縛る。糸がゆるんで外れそうな箇所を縛っておく。こうすれば、難しい糸かけ作業をしなくても元の状態に復元できる。もちろん、万が一のために、糸かけの状態をスケッチするか、カメラに収めておく。


ラジオ回路基板をフレームから分離した状態。作業中は、この糸かけの状態がはずれないよう注意する。


次は、バーアンテナだ。無色、黄色、緑、黒の4本のリード線を外した後、2本のビスを外す。


バーアンテナを外した状態。2本のビスは、元の箇所に仮止めしておく。

これで、不良部品交換作業の準備ができた。

SONY CF-1450のラジオ回路基板とアンプ回路基板

  大きい画像
ラジオ回路基板のアップ。
7石の3バンドラジオ回路。おそらく2SC710が7本だろう(部品が密集していて確認できない)


ラジオ回路基板のハンダ面(裏面)

  大きい画像
アンプ回路基板。交換対象の電解コンデンサがたくさんある。

長年の汚れを洗い流した~ケース洗浄~

ケースは、ツマミ、アングル、電池蓋など、すべて分解し、徹底的に水洗いで汚れを落とす。主な洗浄剤は、やはり「シンプル・グリーン」が良い。今回は、強い異臭がするアンモニア水の出番はなかった。

レストア2日目を終えて

ラジカセのレストアは、ラジオと比べて、作業工程が格段多に多くなる。それだけ部品点数や配線数が多くなるので、メモや写真撮りはとりわけ重要だ。

洗浄したケースなどをじっくり乾燥させる間に、部品交換の作業に入ることにする。

つづく

kazu

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